
第27回全国オンライン勉強会【山本ジョージ氏】2025/12/19
「障害者福祉と刑事司法を先進国並みに!」
山本 ジョージ
やまもとじょーじ
作家・社会活動家
都議2期、衆院議員2期を歴任。 早大卒。市民運動から政治の世界へ。
1996年に衆院議員となる。秘書給与詐取事件による服役後、福祉施設に勤務。2004年に著書「獄窓記」が新潮ドキュメント賞を受賞。テレビドラマ化もされる。以降、「累犯障害者」「出獄記」等を出版し、福祉の代替施設と化す刑務所の問題を社会に提起。厚生労働科学研究や日本社会福祉士会の研究者となり、行政機関に様々な政策提言をする。今では、それらのほとんどが実現。
2007年に更生保護法人および就労支援のNPO法人を設立し、現在も障害者や生活困窮者への地域生活支援を続けている。

レポート
今回の全国オンライン勉強会では、
作家であり、長年にわたり障害者福祉と刑事司法の改革に取り組んできた山本ジョージさんを講師に迎え、
「障害者福祉と刑事司法を先進国並みに!」をテーマにお話しいただきました。
山本さんは、参議院選挙でれいわ新選組の仲間として共に闘った存在でもあり、現場を知り尽くした“当事者の視点”から、日本社会が抱える構造的な問題を語ってくださいました。
司会はおなじみのさかぐち事務局長。
冒頭では、くしぶちボランティア本部長、続いて天畠大輔参議院議員からの挨拶があり、勉強会は深い問題意識とともにスタートしました。

参院選の約1か月間、真夏の東京を山本ジョージさんと一緒に駆け回りました。行く先々で、障害のある家族や、少年院・刑務所を経験したお子さんを持つ方が、涙ながらに話をしてくれたんです。表には見えないけれども、そのような闇を抱えながら、しかし一生懸命生きようとされてる方がいる。ジョージさんは、そうした人たちを表で陰で支え、法改正にもつなげてきた方。今日はそのリアルな話を全国のみなさんと共有し、刑法も障害者福祉も、先進国並みに変えていけるような力にしていきたいです。
命をないがしろにする政治から決別しましょう。障害者運動のリーダー、横塚晃一さんは1975年、著書の中でこの社会を極めて厳しくただしました。障害のある人を“価値のない存在”と見てしまう社会の差別意識こそが、絶望を生んできました。それから半世紀、私たちはこの差別と絶望をどれだけ解き放ってきたでしょうか。福祉予算を削ることが正しいかのような言説に、だまされてはいけません。すべての人は、生きているだけで価値があります。福祉政策を前進させ、真の意味でインクルーシブな社会を実現しようではありませんか。私たちが力を合わせて歩き出す時です。全国のボランティアの仲間たち、スタッフの皆さん、自治体議員、国会議員、みんなでスクラムを組んで頑張りましょう。
それでは、山本さんの講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟刑務所が“最後のセーフティーネット”になっている社会
山本さんは、自身の服役経験を通して、日本社会の“ある歪み”を見てきました。
それは、本来であれば福祉につながるべき人たちが、支援を受けられないまま刑事司法へと流れ込み、刑務所が事実上の「最後の受け皿」になってしまっているという現実です。
知的障害や精神障害のある人、強い生きづらさを抱えた人たちが、地域で孤立し、行き場を失い、結果として刑務所にたどり着いてしまう。
山本さんはそれを、「罪を犯した人の問題」ではなく、社会の側が支えきれなかった結果だと語ります。
🌟数字が示す、日本の刑務所の実態
その構造は、数字にもはっきりと表れています。
・2024年に新たに刑務所へ入った受刑者:約1万4,800人
・IQ69以下とされる人:約22%
・配偶者がいない人:85%
・最終学歴が中卒以下:55%
また、刑務所を出所した人のうち、精神障害がある、またはそのおそれがあるとして自治体に通報された人も22%を超えますが、自治体が実際に支援につなぐケースはごくわずかです。
福祉と司法の断絶が、再犯と再収監を繰り返す背景にあります。
🌟制度が人を排除する構造
日本では、障害福祉サービスを受けるために多くの場合「手帳」が必要とされます。しかしその基準は自治体ごとにバラバラで、本来支援が必要な人ほど制度からこぼれ落ちてしまう現実があります。
WHO基準では、知的障害のある人は人口の約2〜3%とされる一方、日本で把握されているのは約1%。特に「軽度」とされる人ほど支援が薄く、地域で孤立し、貧困の末に刑事司法へと追い込まれていくケースが少なくありません。
🌟障害を前提にしていない刑事司法
アメリカには精神・知的障害のある人を専門に扱う「メンタルヘルス・コート」がありますが、日本には存在しません。障害があっても一般の刑事裁判にかけられ、誘導的な取り調べや不十分な審理が行われやすいそうです。
被害者になれば「信用できない」と扱われ、加害者になれば「責任能力あり」とされる。
山本さんは、こうした矛盾を通して問いかけます。
「障害の有無にかかわらず、すべての人をインクルージョンする社会をつくれるのか。それは福祉や司法の問題にとどまらず、この国のあり方そのものが問われているのではないか。」
他にも、
・刑務所と福祉をつなぐために実際に進めてきた取り組み
・「地域生活定着支援センター」が生まれた背景
・日本が「隔離大国」と呼ばれてきた理由
・海外事例から見える、別の選択肢
など、より踏み込んだ内容が語られています。
ぜひ会員限定アーカイブで全編ご覧ください🌟
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次は皆様からの質疑応答タイム🌟
今回も多くの質問が寄せられ、その中から特に当事者の方からの声を中心に、3つの質問をご紹介します。
- 難病や障害があっても、制度の基準に合わないことで支援を受けられないケースがあります。一律の対応では障害福祉の制度からこぼれ落ちてしまうことが起きると思いますが、この点についてどのようにお考えですか?
-
日本の福祉って、マクロで見るとやっぱりおかしいと思うんです。制度の枠で人を選別してしまっているんですよね。手帳がないと支援につながれない仕組みでは、どうしてもこぼれ落ちる人が出てきます。だから大事なのは、制度じゃなくて一人ひとりのニーズを見ること。目が悪ければ眼鏡を使うのと同じで、必要な人に必要な支援を当たり前に届ける。その発想に立てば、福祉全体はもっと広がっていくはずです。そういう考え方を、政治がちゃんと持たないといけないと思っています。
- 刑務所がセーフティーネットになっている日本の現状で、専門的な福祉の知識を持った職員や社会復帰のための福祉体制、様々な改革で予算や人材が足りていないと感じています。この問題について、国や地方自治体などで今後どのような取り組みが必要でしょうか?
-
日本はね、刑務所も福祉も、とにかく人とお金が足りないんですよ。アメリカやイギリス、ノルウェーと比べると、予算も人員も桁違いに少ない。僕自身、受刑者も保護観察も経験しましたけど、一番つらくて不安定なのは、刑務所の中や出所した直後なんです。本当はそこを支えるのが、法治国家の大事なインフラのはずなんですよね。ノルウェーでは、被害者も加害者も国の責任だとはっきり言う。だから被害者支援も、更生のための人手も、ちゃんとお金をかけている。日本はどうしても犯罪になると感情論や自己責任に流れてしまうけど、それじゃ何も変わらない。きちんと罰を受けて、きちんと生き直せる刑務所にする。そこはもう、政治の責任だと思っています。
- 国の制度改革を待たずに、地方自治体や市民レベルで今取り組めることはどんなことがあるでしょうか?効果があったと感じたことなどあれば教えてください。
-
再犯防止推進法ができて、国だけじゃなく自治体も一緒に“生き直し”を支える仕組みが動いています。僕がよく自治体に言うのは、制度を作る前に、まず一人引き受けてみてほしいってこと。実際に関わると、その人なりの考え方やこだわりが見えてきて、 『こういう支え方が必要なんだ』って現場で気づくことがたくさんあるんです。刑事司法の中では『理解できない』で切り捨てられがちな行動も、ちゃんと向き合うと、とても純粋で、人間らしい部分が見えてくる。だからこそ、こういう人たちを社会の真ん中で支えることが大事なんです。 一人のケースを丁寧に支えることが、結果的に福祉を大きくしていく力になると思っています。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想👇
つぶやいてくださった皆様、感謝です☆
◆障害あると仕事出来ない…普通の事が出来なくて孤立していく…。
◆介護職25年やり民生員をしたが地域で軽い認知症の方を民生員自身が理解してなかった。何度も話をしたが無理だったし地区長自体が面倒くさいと関わらない。地域で孤立する。家には寝たきりの奥さん。包括支援センターもあまり入れない様子が不思議でならなかった。誰も彼も他人事。自分事で考えてもらわないと結論が出ないことを経験しました。
◆票にならない問題はずーっと放置される。
◆障害があっても福祉が補佐しながら人生を選べる様になると良いのにな。
最後に、くしぶち本部長とさかぐち事務局長からコメントがありました。
今日は本当にありがとうございました。もっと聞いていたい、という方も多かったと思います。中でも特に印象に残ったのが“手帳制度”の話でした。障害者手帳だけじゃなくて、水俣病の被害者手帳や、被爆者健康手帳もそうですよね。結局、どこで線を引くか、どんな基準で認定するかによって、同じ被害を受けていても支援から漏れてしまう人がいる。緊縮財政のもとで、対象者をできるだけ減らしていく。その結果、被害者や障害のある人の“生きる力”を奪うような制度が、あちこちにあるんだと改めて感じました。
そこで一つお聞きしたいのが、オランダやヨーロッパでは手帳がないとお話がありましたが、そうした国では、財政的にどんな仕組みで支援が行われているのか、という点です。
ヨーロッパでは、手帳がなくても社会の中で支える仕組みがあります。ソーシャルファームのような社会的企業が、障害のある人の居場所や仕事をつくり、行政はそれを側面から支える。同じ物を買うなら、そういう場所の物を選ぼう、という意識も根付いています。イタリアでは、刑罰は罰するためではなく“生き直し”のためのもの。高齢者や障害のある人は収監せず、社会の中で支えながら更生していく。排除ではなく、インクルージョンこそが社会を支える考え方なんです。
ありがとうございます。生きてるだけで価値ある社会を作っていきたいと思います。
今日は司会をしながら、正直ちょっと頭がずっと麻痺した状態でした。なぜかというと、日本って、人間の尊厳や価値が本当に問われるところに、お金も使わず、見て見ぬふりをしてきた国なんじゃないかと。山本ジョージさんの言葉を聞いて強く感じたんです。アメリカやヨーロッパの例を聞いて、そこをちゃんとやることこそが“国の意味”を問われるというか。日本は根本の哲学のところで、道を間違えているのかもしれない。視聴者のみなさんも、たくさんのことを感じてくれたんじゃないかと思います。本当にありがとうございました。
今回の勉強会を通して、
障害者福祉や刑事司法の問題は、当事者だけの話じゃないんだなと改めて思いました。
これは、この国の価値観を問われている話なんだと感じます。
支援につながれず孤立した人が、最後に刑務所へ行き着いてしまう現実。
それは個人の責任ではなく、社会の仕組みの問題なのだと強く感じました。
排除ではなく、包み込む社会を。
罰するのではなく、生き直せる社会を。
これからも一緒に、“生きててよかった”と思える社会をつくっていきましょう。
山本ジョージさん、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました🌟


山本ジョージ(山本譲司)さんの著書もぜひチェックしてみてくださいね☆
↓
〇出獄記 – ポプラ社 2025/3/19
〇累犯障害者 – 新潮社 2009/3/30
〇獄窓記 – 新潮社 2008/1/29
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