HOME ボライベ 全国オンライン勉強会 第23回全国オンライン勉強会【本田宏氏】

「医療崩壊させないための処方箋」

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本田宏氏

講師 ほんだ ひろし さん

医師、NPO法人医療制度研究会理事長。

東京女子医大腎臓病総合医療センター外科、埼玉県済生会栗橋病院副院長などを歴任し2015年退職。
医療現場での経験から長年、医師不足や医療費抑制の問題を訴え、医療再生を目指して活動中。

著書に『Dr本田の社会保障切り捨て日本への処方せん』(自治体研究社刊)、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)、『本当の医療崩壊はこれからやってくる!』(洋泉社刊)、『高齢期社会保障改革を読み解く』(共著、自治体研究社刊)など。


レポート🌟

第23回全国オンライン勉強会【本田宏氏】2025.8.29(金)


「日本の医療は世界一安心、安全。」
そう信じていませんか?
ところが現場の医師や看護師は疲弊し、地域の病院は次々と姿を消しています。
“医療崩壊”は、すでに私たちの日常に迫っているのです。

今回の勉強会では、医師でNPO法人医療制度研究会理事長の本田宏氏が登場。
本田氏は現在、ヘルペス脳炎という病気を抱え、公の活動は制限されています。それでも「誰かが伝えなければ」という思いから、録画講演と過去の取材映像を組み合わせる特別な形式で、お話いただきました🌟


始めにくしぶち本部長とやはた議員の挨拶😊

皆さん1ヶ月ぶりですね。今日もご参加ありがとうございます。通常国会で、自民・公明・維新の3党が医療費4兆円削減に合意したことを、私は“冷酷3兄弟”と名付けて批判しました。本会議では『人を殺す気か、国民を殺す気か』と強く訴えました。
今日のテーマ“医療崩壊”は、本田先生がずっと前から現場の危機感として伝えてきたこと。それがいま政府の中で現実になってきています。
この状況をどうやって止めていくかが最大の課題。病床削減は全部、緊縮財政の発想からきているものです。医療やそして社会保障は何のためにあるのかということを改めて今日は皆さんと共有する勉強会になればと思っています。よろしくお願いします。

皆さんこんばんは。私は厚生労働委員会に所属していますが、次の国会では“いかに医療費を削減するか”が叫ばれようとしています。
命を守るには、緊縮ではなく予算が必要です。生きてていいんだと、生きててよかったと思えるような社会、生きてるだけで価値ある社会って言うように。れいわが2019年から言ってきた社会を実現するためにも、医療にしっかり予算を投じていくことが大事だと思います。次の国会でもしっかり訴えていきたいと思っていますので、皆さんとそれを共有していきたいです。私も勉強させていただきます。

それでは、本田氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟



🌟国の責務と医療費抑制の矛盾

「国の最も大事な責務は、国民の生命と財産を守ることです」
そう切り出した本田宏氏。ところが日本では、命に直結する治療や投薬にまで「削減」のメスが入ろうとしています。
実際、勤務医20万人のうち4割が過労死ラインを超えています。そのうち1割は“倍以上”の長時間労働。それでも、医学部定員はさらに削減へ。


🌟独法化が進める“命の切り捨て”

東京都は2022年、都立病院を独立行政法人化し、公社病院とともに再編統合を決定しました。
「消防署や警察が黒字を出していますか?命を守るインフラに採算性を持ち込むのはおかしい」
コロナ禍で最も多くのベッドを確保した都立病院を独法化することに、市民の不安は高まっています。
大阪では保健所や府立病院の独法化が早くから進み、コロナ禍で死亡者数が全国最多となりました。採算性を優先した結果、救急・小児・感染症といった“不採算部門”が切り捨てられました。


🌟世界最低水準の診療報酬

日本の医療は「世界一安い」公定価格に縛られています。

・外来診察料はOECD平均の40%
・内視鏡検査は日本1.1万円、ドイツ3.7万円、米国8.5万円
・盲腸手術は日本で30〜40万円、スイスで約300万円

これでは病院が黒字になるはずがありません。医師は“薄利多売”で患者をさばくしかなく、質の低下や疲弊が避けられない。しかも薬や医療機器は世界一高い価格設定。製薬会社やメーカーには超優しい仕組みになっています。


🌟医療費抑制40年のツケ

医療崩壊はコロナで突然始まったのではなく、40年以上続く医療費抑制政策の必然的な結果。

・医師不足は「医学部定員削減」という政策的な人為ミス
・夜勤医を“寝ている”として労働時間に含めないなど、現実無視の働き方改革
・大学病院で看護師が大量退職するほどの低い診療報酬

日本の医療費が先進国で最低水準に抑えられていることを、ほとんどの国民も医療関係者も知りません。メディアが伝えないからです。


🌟医療はコストではなく投資

一方で、明石市は公共事業を削り、子育てや福祉に予算を集中させ、人口と税収を増やしました。
長野県の佐久総合病院は、農村地域の診療所や訪問診療まで支え、地域に雇用と経済循環を生み出しています。
病院はライフラインであり、地域経済を回す存在でもあります。




上記がお話いただいた主な内容の一部です✨

福島県の小さな洋品店に生まれ、医師を志す予定はなかったという本田氏。弘前大学医学部に進み、36年間外科医として第一線に立たれていました。
しかし昨年9月、ご病気に罹られてからは「死んだ方がいいと思った時期もありました。でも、医療費抑制の問題を全国で訴えられるのは自分しかいない。だからやるしかない、と思い直しました。」という、本田氏の言葉が突き刺さります…。病を抱えながらも発信を続ける姿勢には、命を守る医療を諦めない強い覚悟を感じました。

本田先生の貴重なアーカイブ映像をぜひご覧ください🌟



皆様からの質疑応答タイムでは、寄せられた質問の中から4つをピックアップしてご紹介します。


もっとも公的で市民生活に欠かせない医療が、一つの医療機関の経営によって左右されるのは不安です。安定した医療体制のために、どんな政策が必要だと思いますか?

日本は戦争に負けて以来、アメリカの影響で医療費抑制が続いています。今の政権が自ら医療費を増やすことは期待できません。だからこそ国民が真実を知り、声をあげていくしかない。誰かがこれを言わなければアメリカの思うつぼ。全国で多い時は年間50回あちこちを回って講演していました。

看護師不足の原因と抜本的な解決策はありますか?

根本は医療費抑制にあります。医療職は責任も重く、労働も過酷で、給料も低い。だから若い人が敬遠するのです。日本の人口当たりの医師数も看護師数も先進国で最低レベル。医療費を先進国並みに増やさなければ、医師や看護師を増やすことはできません。結局は国民が「医療にもっと予算を」と望む社会をつくることが必要です。

国民皆保険の継続は難しいと感じます。マイナンバーカードへの移行も問題では?

表向きは皆保険制度が続いているように見えますが、実際には形骸化しています。マイナンバーも「便利に使う」ならいいが、実際には医療費抑制に利用されかねない。私たちが「何のために使われているのか」を見極め、声をあげなければなりません。

医療従事者が過労死ラインで働くのは人権侵害では? 国民全体の問題にするには何が必要でしょうか?

日本は戦後から医療費を抑制し続け、人口当たり医師数は先進国で最少です。そのことをまず知ることが大切です。医師や看護師は他国より待遇も悪く、人権が守られていません。国民全体が、医療費を増やし医療従事者の権利を守る政治を選ぶことが必要です。知らないことが一番怖い。だから私は今日も話しています。


今回の勉強会について、ネット上でのご感想👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆

◆全然知らないことばかり。世界一病床数が多い、過剰医療とかの話を聞いていたから、驚いています。先生どうかお元気になられますよう。

◆本田先生、ジョークご健在で、お元気そうに見えるのにな😢

◆人の命をあつかう医療は簡単な問題ではなく、ただ単に医師を増やせばいいだけでなく、医療従事者の質の問題も議論しなければならないし、やはりある程度の都会とへき地医療と言われる地域とでは同じ土台では考えることは難しいと思います。とにかく少しでも早くこれからの日本の医療について医師会や政府だけに任せるのではなく、国民を巻き込んで議論しなければならない所まで来ていると思います。れいわに先頭に立ってほしいです。

最後にやはた議員、くしぶち本部長、さかぐち事務局長からのお礼とコメントです。

先生のお話を聞いて、改めてれいわとして医療現場とどう向き合っていくかが課題だと感じました。今の政治は“どこを削るか”ばかりで、足りないところに国債を発行してでも投資するという議論がありません。でも現場では、命を守っているのに賃金が低く、やりがいを失ってしまう声を毎日のように聞きます。だから部分的な改善ではなく、もっと全体的に力を入れる必要があると思います。れいわとしてどう発信していくかも重要、これから臨時国会、通常国会に入りますので、厚生労働委員会としてやっていく決意を新たにしました。

今日は初めて録画での全国勉強会でしたが、本田先生の“無口だけど言わなきゃいけない”という強い思いがすごく伝わってきました。
私自身も父の闘病を通じて、医師の長時間労働をなんとかしてほしいという声を聞いたことがあり、今日の話は改めて衝撃でした。医療費抑制が40年続いてきた結果、経済成長も停滞し、地域の病院や農業など生活の基盤まで壊れてしまっている。
医療は警察や消防と同じ公共インフラです。本田先生も言っていた通り、政府に訴えてもお金は出てこない。だから国民に伝えていくしかないし、れいわが積極財政で命と地域を守る姿勢をもっと広めていかないといけないと思います。
安楽死や尊厳死を望む声が出てしまうのも、将来への不安や経済の行き詰まりが背景にある。本当に“生きててよかった”と思える社会をつくるのが私たちの責任だと改めて感じました。今日の話を心に留めて、一人でも多くの人に現状を伝え、一緒に今の政治を変えていく力にしていきたいと思います。

命を軽視する政治が経済や農業にまでつながっているということを、今のくしぶちさんの指摘で改めて感じた方も多いと思います。本田先生が体調が厳しい中で、命がけでメッセージを伝えてくださったことに心から感謝します。
今日の話で繰り返し出てきたのは“騙されない力をつける”ということ。私は先日フィンランドを視察しましたが、そこでは高校からメディアリテラシー教育が徹底されていました。批判的に政治を理解し、国民の声を届けていく社会をつくることこそ、参加型民主主義を掲げるれいわの使命だと改めて思いました。本当に貴重な機会をいただき、感謝します。

今回の勉強会を通じて、日本の医療崩壊は偶然ではなく、長年の政策の積み重ねによるものだとわかりました。
本田先生の“知らなければ変えられない”という言葉が心に残ります。
“生きててよかった”と思える社会をつくるために、私たち一人ひとりが声を上げていきましょう!

本田宏さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟

本田宏氏の著書もぜひチェックしてみてください!
 ↓
〇樹液を吸い取る政治 医療・社会保障充実を阻むものとの訣別へ – あけび書房 2023/10/19
〇Dr.本田の社会保障切り捨て日本への処方せん 新型コロナ感染症を乗り越えて – 自治体研究社 2021/12/15
〇日本の医療はなぜ弱体化したのか 再生は可能なのか – 合同出版 2021/11/26


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