「トランプ政権と日米外交」
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猿田佐世氏
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弁護士、新外交イニシアティブ代表。
外交・政治問題について米議会等で自ら政策提言を行う他、日本の国会議員や地方公共団体等の訪米行動を実施。米議員・米政府面談設定の他、米シンクタンクでのシンポジウム、米国連邦議会における院内集会等を開催。
研究課題は日本外交。基地、原発、日米安保体制、TPP等、日米間の各外交テーマに加え、日米外交の「システム」や「意思決定過程」に特に焦点を当てる。
著書に「新しい日米外交を切り拓く(集英社)」「自発的対米従属(角川新書)」など。
レポート🌟
第22回全国オンライン勉強会【猿田佐世氏】2025.7.24(木)
「外交は国同士のエリートがやるもの、自分には関係ない…。」
そう思っていませんか?
でも実は、私たち市民の声が、国の方針や世界の平和に直接影響を与える場面があります。
今回の勉強会では、新外交イニシアティブ(ND)代表で弁護士の猿田佐世氏が登場。
猿田氏は沖縄の基地問題から米議会へのロビー活動まで、弁護士でありながら、アメリカの政治家らと渡り合うための研究や政策提言も行っています。
詳しくは「新外交イニシアティブ」で検索してみてください!
そんな猿田氏に安全保障問題や各国の外交について、お話いただきました🌟

始めに司会のさかぐち事務局長とくしぶち本部長の挨拶😊
ボランティアの方々の本当に温かい、そして熱い支援によって、れいわ新選組に対する逆風もある中で3議席を確保することができました。補佐の方やスタッフの方々にも本当にご尽力をいただきましてありがとうございます。猿田さんは、私も何回かワシントンに行った際に政治家との会合をコーディネートしてもらったり、いろいろレクチャーを受けたりして、日米関係をワシントンから長年ウォッチして政策提言もしている、本当に第一人者です。今日は、特に自国ファーストといった大きな変動がある中で、トランプ政権をずっと見てきた猿田さんの知見から、一緒に勉強できたらと思っています。
参議院選が終わった直後ですが、ご参加いただきありがとうございます。猛暑の中の厳しい選挙戦を乗り越えられたのは、全国の草の根の力と応援のおかげです。ボランティアや地方議員、スタッフのみなさんの力も本当に大きかったと思います。課題も多く見えた選挙ですので、今後もずぅむかふぇなど心と力を合わせた場を作っていきたいので、ぜひ率直なご意見もいただければと思っています。衆議院選も近いと言われていて、ここを乗り越えるのが大きな節目だと感じています。関税や武器の爆買いがまた行われる?などニュースで話題になってますが、経済面での影響はまだまだ不透明です。あとで伊勢崎さんも来て意見を聞けるので、一緒に学んでいきましょう。よろしくお願いします!
それでは、猿田氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟日米関係の転換期 ― 軍拡か外交か
現在、日米外交をめぐる最大の懸念は、アメリカの同盟軽視姿勢です。トランプ前大統領はかねてより「日本はアメリカに守ってもらっているが、アメリカを守る必要はない」という不満を口にし、同盟国の防衛負担を「タダ乗り」と批判してきました。
そのため、日本国内では「このままでは米国が日本を守らなくなるのでは」という不安が広がっています。
一方、朝日新聞の世論調査では、「アメリカから自立すべき」と考える人が7〜8割に達し、世論は大きく二分化しています。
A:従来どおり日米同盟を強化し、アメリカに守ってもらうために全面的に従う。
B:アメリカ依存を減らし、自立的な安全保障を模索する。
Bの中でも考え方は分かれます。
B1:防衛力を大幅に強化し、核武装も含めて日本独自で中国などに対抗する。
B2:軍拡競争ではなく、外交努力で安全保障を確保する。
猿田氏は、今後AよりBが主流になると予測しつつも、放っておくとB1が優勢となり軍事力を高める方向に行ってしまうと警鐘を鳴らしました。
🌟日本の防衛費、急ピッチで拡大中
近年、日本は専守防衛の原則が揺らぎ、防衛力を急拡大しています。
・安保三文書の改定により「敵基地攻撃能力」を保有
・長射程ミサイルの導入
・防衛予算をGDP比2%へ倍増
・武器生産・輸出の推進
・自衛隊施設の地下化や他国軍との共同訓練強化
国際的にも、トランプ政権下でNATO諸国にGDP比5%の防衛支出を求める動きがあり、日本にも3〜3.5%程度の要求が水面下で行われている可能性が指摘されました。
🌟台湾有事じゃない、“台湾戦争”だ!
安全保障の観点から、日本や地域の平和を脅かす最大の火種は台湾戦争です。台湾有事という言葉ではなく、「台湾戦争」と呼び、現実感を持って危機を捉えるべきです。
台湾戦争の可能性は、米中対立の激化。だからこそ大事なのは、どちらかの陣営に無理やり加わらされないこと。今、グローバルサウス(発展途上国・新興国)から聞こえてくるのは「Don’t make us choose(私たちに選ばせないで)」という声。日本もこうした国々と手を取り、対立緩和のための外交を進めるべきだといいます。
🌟外交が目指すもの、信頼醸成と相互依存の力
アメリカの核兵器は日本方向を向いていても、日本人は脅威ではなく「守ってくれてありがとう」と受け止めます。一方、中国や北朝鮮から見れば同じ核兵器が恐怖の対象。違いを生むのは、信頼関係の有無です。
また、日本の貿易の4分の1は中国が相手。経済制裁をすれば、日本が先に干上がります。だからこそ、経済的なつながりは戦争抑止の鍵になるとのこと。東南アジア諸国が「どちらかを選ばされたくない」と言うのと同様、日本も中国との経済関係を切れません。
🌟アメリカから学んだ「制度化」の外交
日米韓首脳会談では、軍事演習だけでなく、外務・経産・財務など各分野での定例会合や共同事業を制度化。銀行、研究所、人道支援、女性活躍、サプライチェーン強化まで、社会の隅々で3か国が結びつく仕組みを作りました。
この制度化により、たとえ政治的摩擦が起きても全関係を即断絶することは困難に。日常的な交流と協力が危機対応力を高め、戦争リスクを下げます。
上記がお話いただいた主な内容の一部です✨
この他にも、
・れいわ新選組への期待
・中国に軍事力のみで対抗しようとする愚かさ
・米中対立の中でASEANはどうすべきか?
・ベトナムのBAMBOO外交(竹外交)について
…etc.
など、お話しいただきました!
詳しく知りたい方は、アーカイブ映像をぜひご覧ください🌟


次に、今回の参議院選挙で議員になられた伊勢崎さんからのコメントです。
第一次トランプ政権の時、ハワイでアメリカの太平洋陸軍の会議に呼ばれて話したんですが、国連軍って実は冷戦の遺物で、国連ももう関わっていません。でも日本はこの国連軍と地位協定を結んでいて、日本の基地も後方支援に使われています。韓国のユン大統領は、この仕組みを「自動報復装置」と呼びました。北朝鮮が何かすると日本の意思とは関係なく自動的に反撃が始まるという意味です。でも日本のメディアや専門家はほとんど反応しませんでした。僕は超党派での動きを進める活動をしています。石破さんとも盟友として厳しく意見を交わしながら、彼には地位協定というこの課題をやり遂げてから辞めてほしいと思っています。
そして、皆様からの質疑応答タイム🌟
今回は寄せられた質問の中から、2つをピックアップしてご紹介します。
- トランプ大統領の自国ファースト政策が世界に広がり、日本にも影響が出ています。こうした地球規模の課題や人権を置き去りにする政治姿勢に対して、アメリカの人たちはどう立ち向かい、どんな成果をあげているのでしょうか?
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正直、アメリカは成功していません。トランプのような動きは他国にも広がっていますが、みんな困っている状態です。一方でスペインは、市民社会がしっかりしていて、本当の意味での国民第一の政治を掲げ、軍拡やアメリカ依存にモノを申す姿勢があります。日本も学ぶべきところです。アメリカの市民運動も、今は少しずつ国際連携の意識に変わりつつあります。国内で対抗できなければ国際的な連帯を活用すべきです。日本も「日本第一主義」に乗っ取られそうなので。だからアメリカや欧州の動きを学び、れいわのような動きが先陣を切って良い例を作っていくべきだと思います。
- 日米の関税交渉が15%で一旦決着しました。もともと25%だったのが15%に下がったことで、日本側は安心し株価も上がったようですが、この交渉をどのように評価すべきでしょうか?アメリカ事情に詳しい視点で教えてください。
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確かに25%から15%に下がったのでお祭り騒ぎのように喜ばれていますが、実際はもともともっと低い関税率を15%まで引き上げられたというのが本当のところです。つまりトランプ政権の戦略に見事に乗せられているだけなんです。これから日本の自動車産業は15%の関税のもとで苦戦を強いられ、産業全体も弱くなるでしょう。もちろん25%からの引き下げなので「頑張ったね」と評価もできるし、安倍政権ならもっと悪い結果だったかもしれません。
ただ、こういう個別の交渉で「うちは一番マシだった」と言っても意味がなくて、実際は全世界がトランプ政権の暴走に困っていて、国際的な連携で対抗しなければならない時期です。ファイナンシャルタイムズなど海外の報道でも、世界が一丸となってアメリカの報復関税に反撃するべきだと書かれています。個別に対抗しても到底かなわないし、国ごとの事情が違うとはいえ、協調を最優先すべきなんです。
これから、れいわ新選組の国会議員の皆さんが石破さんや新しい総理と対峙なさる時には、今回の交渉は負け戦だったとしっかり声を上げ、国際連携や国際秩序の重要さを見据えて行動することが大事だと思います。国際秩序が崩れたら終わりですからね。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆
◆トランプ関税に対する対処法から、日米、日中関係について、日本のとるべき行動などが分かりやすく解説されました。
◆猿田さんのお話に感動しました!ありがとうございました!たいへん勉強になりました。光が見えた思いです 👏👏👏
◆軍拡競争をした国の8割は戦争に巻き込まれ、軍拡競争しなかった国のほとんどは戦争に至らなかった。150年の分析です。この国に生きる人々を守るために、軍拡競争に乗っちゃいけないんです。マルチトラック(多層)外交も重要。なにも難しいことではなく、姉妹都市外交や交換留学もそう。私にもあなたにもできる。
最後に伊勢崎議員、くしぶち本部長からのお礼とコメントです。
これから色々一緒にやっていきましょう。超党派で日米地位協定の改定を議連にして、本格的に議論を進めなきゃいけない。れいわも共産党も自民党も参政党も、だいたいコンセンサスはできているので、あとはどう変えるかという作業です。事実に基づいた情報を入れて、みんなが納得できる最大公約数を少しずつ事実に基づいて上げていく。ぜひ協力しましょうよ。
それと、石破辞めるな運動には与するつもりは全くないです。厳しい盟友として、やるべきことをちゃんとやってから辞めてほしいと思っています。
今日はありがとうございました。伊勢崎さんが議員になって初参加ということで感慨深いです。もともと私はNGOのピースボートで市民外交をやっていて、外交や安全保障に市民や研究者の声が入りにくい現状を変えたいと思って政治家になりました。外交は戦争を防ぐ最大の手段で、市民ももっと関わるべきだと感じています。今、れいわ新選組は外交・安全保障の現場を知る議員が少数政党でありながら一番揃っています。この危機の時代に、従来と違う手法で外交・安全保障の分野に風穴を開け、日米地位協定の改定や東アジアの非核化、安全保障協議体の再構築など、超党派でやっていくことが今こそ必要です。れいわという場でこれを進めていきたい。今後も猿田さんらと協力し、強いタッグを組んで日本を守っていきたいと思います。
今回の勉強会で、日本やアジアの安全保障の複雑さ、そして戦後から続く日米同盟や軍事依存の構造が今も色濃く残っていることを実感しました。猿田さんの示したデータから、軍拡競争は戦争の危険を高めると知り、外交による平和構築の重要性を改めて感じました。
普段あまり触れる機会のない分野でしたが、政治家だけでなく市民も一緒に考え、声を上げていく必要があると強く思いました。
猿田佐世さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟


猿田佐世氏の著書もぜひチェックしてみてください!
↓
〇戦争を回避する「新しい外交」を切り拓く – かもがわ出版 2024/12/26
〇米中の狭間を生き抜く – かもがわ出版 2021/11/29
〇自発的対米従属 知られざる「ワシントン拡声器」 – KADOKAWA 2017/3/10
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