HOME ボライベ 全国オンライン勉強会 第18回全国オンライン勉強会【川名晋史氏】

「在日米軍基地の真実」

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川名晋史氏

東京科学大学教授。

在日米軍研究、第一人者。

在日米軍基地ー米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史(中央公論新社)、基地はなぜ沖縄でなければいけないのか (筑摩書房)、世界の基地問題と沖縄 (明石書店)、基地問題の国際比較ー「沖縄」の相対化(明石書店)
など多数。


レポート🌟

第18回全国オンライン勉強会【川名晋史氏】2025.3.26(水)


現代社会が抱える問題点について、幅広い視点から問題の本質に迫る全国勉強会🌟
3月は、在日米軍基地を長年研究してきた川名晋史さんをお招きし、日本における米軍基地の歴史と現状、特に今回は、「日米地位協定の不平等性」などの問題点に焦点をあてながら、日米関係を取り巻く国際構造や政治的背景についてのご講演をお願いしました。

さかぐち事務局長、山川ひとし衆議院議員、くしぶち万里本部長、川名晋史氏

くしぶち本部長と山川議員の挨拶!

沖縄に基地の7割が集中し、東京にも米軍専用の空域があるなど、戦後80年経っても変わらない現状があります。特に朝鮮国連軍の視点から見る日本の基地のあり方が今まさに注目されています。トランプ政権下でアジア情勢や日本の安全保障がどう変化するのか、非常に重要なテーマとなっています。このタイミングで川名先生のお話を聞けるのは貴重な機会です。どうぞよろしくお願いします。

沖縄を含め全国でミサイルの弾薬庫配備が進み、非常に危機感を持っています。日米地位協定や航空法の特例など、様々な課題がありますが、今日は川名先生のお話を通して、日本が主権国家としてどうあるべきかを考える大切な機会にしたいと思います。今の状況は植民地と言われてもおかしくない。れいわ新選組として、できなかったことを動かしていくという状況を作っていきたい。ぜひ皆さんともこの思いを共有し、横に広げていけたらと思います。

それでは、川名氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟



🌟世界における日本の“基地密度”

・日本には世界最多の米軍基地と米兵が集中。
・国防総省によると、日本国内に7000以上の米軍関連施設が存在。
・米軍専用施設の約7割は沖縄に集中。日本本土では海空軍主体だが、沖縄には地上部隊(海兵隊)が駐留し、基地被害が日常化している。
この“集中”は、兵力や面積に加え、再建にかかるコスト=資産価値の面でも突出しており、日本の基地がいかに整備されているかが浮かび上がりました。


🌟「アメリカが守る」の本当の意味

次に川名氏は「米軍は本当に日本を守っているのか?」という根本的な問いに切り込みました。
・NATO条約と異なり、日米安保条約には“日本を守る義務”は明記されていない。
・米軍の優先任務は「自国民と自国資産(=基地)の保護」であり、日本の防衛は“間接的効果”という位置づけ。
・在日米軍の配置も、実際は朝鮮半島有事を想定したもの。
こうした背景には、相互防衛は集団的自衛権を行使できる国としか結ばないという「ヴァンデンバーグ決議」の存在がある。


🌟「米軍」だけじゃない―もうひとつの地位協定の存在

さらに川名氏は、あまり知られていない“もうひとつの仕組み”に言及。
・日本にある7カ所の基地が国連軍基地になっている。
・吉田アチソン交換公文の細目協定を実施するための協定が国連軍地位協定(今も有効)
・この協定は朝鮮戦争をきっかけに設けられ、米軍以外の友軍(仏・英・豪・印など)も使用可能。
この仕組みにより、米軍が“国連軍”に“変身”すれば、安保条約の「事前協議制」を経ずに作戦を開始できる―そんな“抜け道”が今も機能している。


🌟なぜ“基地問題”は国内問題になるのか

本来、外交課題であるはずの基地問題が、日本では“国内問題”として扱われています。
・地位協定に「全土基地方式」が明記され、全国どこでも米軍基地の設置が可能。
・このため、基地を受け入れた地域とそうでない地域の不平等論が常に生まれている。
・結果として、批判の矛先はアメリカではなく、日本政府や沖縄に向かい、国内の分断が生じている。
川名氏は「政治的不平等、分断を構成する一つの要素として、この全土基地方式と縦割りの問題を議論をしていくべきだ」と強調しました。




上記がお話いただいた主な内容です✨


川名晋史氏
川名晋史氏



次は、皆様からの質疑応答タイム🌟


米軍はいた方がいいと思うのか、あるいは日本が真の独立国になるためにはどうすればいいのか?

この問題は非常に難しく、1か0かの単純な話ではないんです。全部撤退させるのは非現実的だと思います。問題は「米軍がいるかいないか」よりも、どういう形でいさせるのかの「やり方」なんです。例えばヨーロッパでは、むしろ米軍に来てもらおうと必死です。そんな中で、日本は米軍基地の存在を外交カードとして有効に使い、今沖縄で起きている基地の問題、人権侵害にも近いようなことをどう低減させていくかを複合的に考えていく必要があると思っています。

先島諸島12万人の避難計画は実現可能なのか?沖縄本島が含まれていないのはなぜ?

これは「避難」というより「疎開」に近い話で、たとえば硫黄島なんかは、戦時中に避難した人たちが今でも戻れていません。6日間で12万人を九州などに避難させるのは、実際には極めて困難で石垣空港は保安検査場が2つしかなく、観光客も多い中でスムーズな避難は非現実的です。沖縄本島が対象外なのは、政治的に「有事」を想定した説明が難しいためと考えられますが、政府は対話と説明責任を果たすべきで、沖縄本島も避難計画の対象にきちんと含めていくべきです。

先生の著書にある「トリップワイヤーとしての米軍」。つまり、米軍が日本にいること自体に意味があるという考え方ですよね。ただ、有事の際に実際に戦うのは自衛隊で、米軍は自分たちの基地を守るのが主な役割だと。では、そのとき“指揮権”はどうなるのか? 米軍が戦わなくても指揮を握るのか?

日米の「統合司令部」が設置されたばかりです。日本政府は「自衛隊と米軍は独立している」と言いますが、現場で指揮権が2つあると混乱します。例えるなら、バイト先に店長が2人いるようなもの。結局、実際は米軍の指揮のもとに自衛隊が動く形になっているのが現実です。ただ、政治的には日本の憲法の関係もあるので「形式上は独立しています」と言い続けなきゃいけない。つまり、“形式”と“実質”がズレているんですね。形式上は独立、実際には米軍の指揮下。そういうのが現場のリアルなんです。

台湾有事が日本有事に発展する可能性は?

私は「台湾有事は日本有事」だと考えています。たとえば、米軍第7艦隊が台湾有事で出動し交戦状態になれば、日本政府はそれを存立危機事態と認定する可能性が高く、集団的自衛権の行使に踏み切ることになるでしょう。そうなれば、日本も実質的に戦争状態に入り、有事とみなされます。初めは曖昧な状況でも、段階的にエスカレートし、結果として「日本有事」になるのはほぼ避けられません。

敵基地攻撃能力の行使と、アメリカに巻き込まれるリスクについてどう考える?

これはすごく大事な話で、結論から言うと、日本が戦争に巻き込まれずに済むのはかなり難しいと思います。形式上は指揮権が別でも、実際はアメリカの指示で自衛隊がミサイルを撃つ流れになる可能性が高い。アメリカの情報を信じて、日本側が発射ボタンを押す。そういう訓練と連携が、すでに現場レベルで進んでいます。

(だから、絶対に戦争をさせてはいけないんだ!!ボラ本部スタッフの心の叫び)


こちらの他にも、沖縄の基地問題を“自分ごと”として考えてもらうにはどうすればよいのか、基地の移設問題、横田空域の問題など、たくさんの質問にお答えいただきました。
詳細はぜひ、アーカイブでご覧ください🌟


今回の勉強会について、ネット上でのご感想です👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆

◆川名先生のお話、最後までいろんな意味で衝撃だった
アーカイブでもう一回見てみよう…

◆アメリカ軍基地問題。朝鮮国連軍の存在。
やはり、朝鮮戦争を終わらせなければアメリカ軍、国連軍も去ることはできないだろう。
トランプが朝鮮戦争和平を行ったことは意味があった。
朝鮮戦争を終わらせて、朝鮮半島が統一されるのがイイだろうと個人的には思うが、まずはアメリカ軍が撤退できる形を。

◆多角的に見れて良いと思う
知らない事が多くて勉強になったし学者としての視点が新鮮だった

30分の質疑応答終了後も各議員との対談が行われました🌟

日本がアメリカに頼らないといけないぐらいの防衛力しかないのか?というところでは、防衛予算だけの部分を足していくと、今回の5年間で43兆円増額しています。中国よりも高い水準なのに、なぜこんなにアメリカ依存なのか?また、日米地位協定は一度も改定されていない。与野党問わず、協議体を作って本気で議論すべきだ。

石破氏が地位協定見直しに言及した点は評価します。ただ、民主党政権のトラウマもあり、多くの政治家が“触れたがらない”テーマに。れいわのような新しい動きにこそ、問題提起をしてほしいと期待しています。

朝鮮国連軍についてのお話が印象的でした。国内にある7つの基地(嘉手納、普天間、横須賀、佐世保、横田、座間、ホワイトビーチ)がすべて関係していることに驚きました。台湾有事よりも、朝鮮有事の方が現実味があるのでは?と思います。再発する可能性のある朝鮮戦争に、私たちはもっと危機感を持つべきでは?この朝鮮有事を防ぐためにどうしたらよいのか、改めてお聞きしたいです。

本当に大事なご指摘で、できればあと1時間くらい話したいくらいです。アメリカから見ると日本・台湾・朝鮮半島は同じ「極東地域」として一体で捉えられています。朝鮮有事と台湾有事は連動して起きる可能性が高く、どちらかが動けばもう一方も動くと考えるべきです。朝鮮戦争は終わっておらず、再発すれば日本の米軍基地が即時に関与します。その現実を日本でももっと理解し、朝鮮半島情勢を他人事にせずに見る必要があります。




最後に、さかぐち事務局長よりコメントです。

ありがとうございました。先生のご説明、本当にどれも説得力があって、分かりやすく根拠もしっかりしていて感謝しています。私からも一つだけ。以前、プライベートな勉強会でアメリカの空軍パイロットの方々に日米地位協定や日米合同委員会などの話をしたら、こんなアンフェアな内容になっているのかと驚かれ、これは持続可能じゃないとまで言っていました。「日米地位協定の不平等性」を解消するためには、アメリカにも良心的な政治家がいる。日本の政治家がそういう人と連携すれば、彼らもやっぱりおかしいと思ってくれるはずだよと言ってくれて。これは希望につながるのかなと思いました。れいわ新選組は日米地位協定の改定を公約に掲げている政党です。私たち政治家も、こうした問題を少しでも動かしていきたいと思ってますので、先生には今後ともご指導いただければと思います。

今回の勉強会を通じて、在日米軍基地や日米地位協定の構造が、想像以上に複雑で、そして日本の主権や安全保障に深く関わっていることが明らかになりました。
沖縄の基地問題や「朝鮮国連軍」の実態は、決して一部地域の話ではなく、私たち自身の暮らしや未来にも直結するテーマです。

日本が本当に「独立国」として振る舞うためには、現状を正しく知り、当たり前とされてきた仕組みに疑問を持つことが出発点。
一人ひとりの問題意識が、変化の力になります。今回の学びを、社会を動かす一歩につなげていきましょう!

川名晋史さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟

川名晋史氏、さかぐち事務局長、山川ひとし衆議院議員、くしぶち万里本部長
さかぐち事務局長、山川ひとし衆議院議員、くしぶち万里本部長、川名晋史氏

川名晋史氏の著書もぜひチェックしてみてください!
 ↓
〇在日米軍基地-米軍と国連軍、「2つの顔」の80年史 – 中央公論新社 2024/1/22
〇基地はなぜ沖縄でなければいけないのか – 筑摩書房 2022/11/17
〇世界の基地問題と沖縄 – 明石書店 2022/8/1


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