「憲法について」

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木村草太氏

法学者。専門は憲法学。

東京都立大学大学院法学政治学研究科法学政治学専攻・法学部教授。高橋和之門下。

TOKYO MXテレビの「田村淳の訊きたい放題」のコメンテーターや テレビ朝日2016年3月まで「報道ステーション」でコメンテーター、沖縄タイムスでの連載「憲法の新手」の他、その他ラジオ番組等、マスメディアでの活動も多い。

趣味の一つに将棋。各大学の法学部において一般的に開講されている「憲法」(人権論、統治機構論など)や「情報法」のような科目、及び憲法学のゼミの他に、将棋の戦法に関する知識を生かした「将棋で学ぶ法的思考・文書作成」など特色のある講義も担当している。

著書は、『テレビが伝えない憲法の話』『ほとんど憲法 小学生からの憲法入門』など多数。


レポート🌟

第8回全国勉強会【木村草太氏】2024.5.24(金)

テーマ「憲法について」

今月は、憲法学者でありコメンテーターとしても活躍中の東京都立大学教授の木村草太氏をお招きし、「憲法について」というテーマでお話しいただきました🌟

まず始めに、くしぶち本部長よりご挨拶☆
今月はちょうど憲法記念日もあり!
「それぞれの地域でみなさまも活動したのではないかと思う。」と、ボラさんにも触れてくださいました。( *´艸`)

れいわ新選組はみなさまもご存じの通り、 “今ある憲法を守れ!話はそれからだ” と、いう姿勢。

憲法25条に定められている “健康で文化的な最低限度の生活”
経済においては30年間も不況が続き、現在はコロナと物価高に国民は苦しめられていて💦
また能登半島地震では被災地置き去り、雑魚寝の体育館…。
災害や紛争の影響を受けた人の人命を守るために、最低限守るべき基準としてまとめられた国際権利(スフィア基準)があるのに💦
この2点だけでも、とても憲法が守られている日本といえない状況、それをどうひっくり返していくのか!
生活保障や平和は9条だけじゃないということ。
ぜひみんなで一緒に学んでいきたいと、おっしゃっていました😊


それでは講演内容へ☆
ユーモアを交えながら、憲法の重要性と現代社会における課題について、以下4つの点を詳細に論じてくださいました✨

・憲法とは何か
・憲法と平和
・明治憲法下の女性の権利
・現代の憲法課題


〇憲法とは何か
憲法は、国家権力の三大失敗【戦争、人権侵害、独裁】を防ぐための「張り紙のようなもの」である。
立憲主義に基づき、天皇の地位と国民主権を定め、戦争の放棄と国民の権利及び義務を規定している。(国民の人権を保障)
特に、権力分立の重要性を強調し「独裁をやりたがる奴にロクな奴はいない」と!(。-`ω-)
独裁を防止するための仕組みについて解説。

ちなみに政党の中にも権力分立はあり、代表や幹事長、政策部門や選挙管理部門が仕事を分け合って、みんなでそれぞれ意見を出し合いながら話を進めていくことの必要性をおっしゃっていました。
代表の独裁は良くないということでした💦


〇憲法と平和
憲法と国際法の関係を把握する重要性を強調した。
憲法9条は、国際法違反の武力行使を禁止し、平和主義を定めている。
19世紀までは戦争は違法ではなかった。その後、20世紀前半には不戦条約など、国際条約において戦争をしないよう試みがあったが上手くいかなかった。
二度の世界大戦を経て、1945年、国連憲章(2条4項)で全ての武力行使が違法であることを決めた。
ただし、3つの例外がある。侵略をやめさせるための武力行使は認めている。言いがかりのような戦争をさせないため、安全保障理事会の決議が必要。
しかし常任理事国による拒否権によって不完全なものになっている。
国連憲章51条では、侵略を受けた国の個別的自衛権、集団的自衛権を認めている。ただ、それを行使するかどうかは各国の憲法や法律に委ねられている。
外交上の紛争を解決するために武力行使を禁じた憲法9条1項は国連憲章と一致する。侵略戦争を禁じた現在の国際社会の当たり前が書いてある。
2項では、『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』とある。
自衛隊の存在などこれらの例外を認める根拠として、政府は、憲法13条では生命や自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨が書かれているとして、9条を守りつつ武力行使を行う根拠としている。
ただ、憲法13条では外国を守れとは書いていない。国民を守るための個別的自衛権の解釈としては成り立っても、集団的自衛権の行使の根拠を13条に求めるのは無理がある。

このような説明をしつつ、自民党が進めてきた安全保障法制や集団的自衛権行使の違憲性を指摘されました。


憲法9条の二つの見方
・侵略の前科への戒め
執行猶予あけ改憲論 VS 政府不信護憲論
・普編原理の先取り
国際公共価値からの改憲論 VS 国際公共価値からの護憲論

前科があるから執行猶予という話ではなく、国際公共価値を実現するために9条をどうしていくことが一番良いのかという問題設定で考えた方がよいというのが、木村さんのお考え。(。-`ω-)
「武力行使を封じた国があることが重要」と述べ、国際社会における非戦の重要性を訴えました。

武力行使に手を染める国は、復興支援や平和構築においても不信感を持たれます。
世界の平和に貢献する国として世界から信頼や尊敬を受ける国になる、それを安全保障の大きな柱にする!そんな日本を目指していきましょう✨


2015年安保法制改正があり、自衛隊法も改正されたときには衆議院の公聴会で、専門家として「この条文はおかしいですよ」と、意見を述べた木村さん。
しかし、数日後に衆議院で可決…全く話を聞いてない!ということで怒っています。と💦
木村さんもおっしゃっていましたが、このときは参議院で山本代表も活躍でしたよね…!


〇明治憲法下の女性の権利
明治憲法下における女性の権利について、選挙権、教育、家族法など様々な側面から解説。特に、女性差別規定が存在しなかったにもかかわらず、実際には多くの場面で女性が差別されていた状況(東大、女性の正規性入学は認められない、文官採用試験の受験資格は男子のみ…など)について詳しく説明してくださいました。

たった100年遡るだけで女性には選挙権がなかったなんてびっくりですよね💦
また、戸主男性の原則に基づき、妻の不倫のみが離婚の理由になる、妻のみが姦通罪の対象になるなど、男性だけが力を持ってしまう内容になっていました。

この女性差別をなんとかしよう!ということで、
憲法改正時に、通訳で20代の女性、ベアテ・シロタさんが提案した内容が素晴らしくて✨
一部をご紹介します✨

◇妊婦・乳児の保育にあたる母親が既婚・未婚を問わず公的援助を要求する権利
◇非嫡出子の差別されない権利
◇長子長男相続の廃止
◇公私立学校における民主主義・自由・平等・正義の基本理念と社会的義務の教育
◇児童の医療・歯科・眼科の治療を無料で受ける権利
◇女性の専門職・公職・政治職を含む男性と平等の就職権
◇男性と同じ賃金を受ける権利

これらをやりすぎだといい、GHQのおじさんたちが削っていったそう…。

しかし、1946年の初の女性参政権行使や、日本国憲法における男女平等規定の制定。

第14条1項
『すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。』
 
など、ベアテ・シロタさんが提案した内容が反映された男女の平等や、女性の権利向上に向けた歴史的な進歩についても紹介。

1946年当時、女性議員は39/466名で当時は国際的にも高い割合でかなり頑張っていたとのことです!
…が、現在の衆議院では45/465名で…💦
あれ?今の今まで全然進歩していないという…この状況何とかしていきたいですよね💦


憲法(1947年5月3日)第24条
 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
 
この “両性の同意” というのは、同性婚を禁止するためではないということ。
男性がとかく力を持ってしまうので、男性支配ではない相互の同意、両親の強制ではないこと、男女平等、女性の合意も大事!という意味なんだそうです。 


〇現代の憲法課題
現代社会における憲法課題として、同性婚訴訟と婚姻制度への包摂、離婚後の共同親権について論じ、24条に反する非合意強制型共同親権の危険性を指摘。
憲法25条の生存権に基づき、市場経済で生計を維持できない人のための生活保障や平和の重要性を訴えました。

同性婚を認めないのは憲法違反だと、裁判でもはっきりしているのに💦
なかなか前に進まないもどかしさを感じました。

ーおわりにー
憲法のことを、歴史の流れの中で考えてほしい。
現在の憲法が成立するに至った先人の努力。
未来に向けて、いま努力している人たちのこと。


講演タイムは終了して質疑応答へ☆

・権力の暴走にどのように歯止めをかけていけるのか?
・権力者が守らないのに罰則はないのか?

上記のご質問が最も多く寄せられていました。

見張り人を誰が見張るのか?という古典的な論点。
憲法を守らない人を罰するという仕事を作ったときに、ではその罰する仕事をしない人が出てきたら、誰が罰するのか?
…無限に続いてしまうわけで💦
どこかで良心に委ねるという場面が出てくる、技術的に出来ない、みんなで頑張って止めるしかない。とのお話しでした。
なるほど…!!(; ・`д・´)


ここで、今回の勉強会について、Xでのご感想をご紹介👇

◆初めて勉強会へ参加させてもらいましたが、有意義な時間でした。
勉強不足で理解が追い付かない部分もありましたが、これからも参加して知識を増やしていこうと思います!

◆神回もはや神
24条と共同親権の関係にも深く触れてくださった
共同親権廃止に今後出来ることは
・運用面での空文化
・政権交代
・立法(家事事件の手続き法の改正、共同親権の強制禁止)

◆面白くて夢中で聴いた。
学生時代に憲法の授業は選択しなかったから憲法の講義をきちんと受けたのはこれが初めてかもしれない。
憲法、人権の歩いてきた歴史…もっと知りたい、と思った。
木村草太先生、ありがとうございました。

◆内容が濃すぎて、ついていくのが大変でした。予習しとけばよかった。
時々入る先生の1人ツッコミ面白かった!

つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆


冒頭でさかぐちさんも言われていましたが、安定感のある大変わかりやすい切り口での解説をいただきました。
多岐にわたる憲法についてのお話、みなさんにとっても大変勉強になったことと思います。(^_-)-☆

特に、憲法と国際法の関係や憲法9条、同性婚訴訟など現代社会における重要な問題について、深く考えさせられる内容でした。
憲法改正は政権交代よりも難しいということ。
それなら政権を取って閣議決定で直していくこと。
共同親権を強制しないようにする仕組みをいれていくこと。
などがあげられていました。


最後にくしぶちさんからは、

「れいわ新選組に共同親権について、新しい法律を作るリードを国会でという宿題をいただき、ありがとうございます。権力者に罰則よりもみんなで止めるしかない!」

という力強いお言葉も!!


今回の勉強会を通して、憲法が単なる法典ではなく、私たち一人一人の生活と密接に関係していることを改めて認識しました。

・憲法は、歴史の流れの中で考え、未来に向けて努力していく必要がある
・権力の暴走を防ぐために、国民一人ひとりが声を上げることが重要である

憲法についてより深く学び、より良い社会の実現に向けて私自身も貢献していけたらと考えています。

木村草太さん、遅い時間までのお付き合い、ありがとうございました☆

木村草太さんの著書はコチラです。
 ↓
〇「差別」のしくみ – 2023/12/11
〇マンガでわかる! 小学生のくらしと日本国憲法 – 2023/12/24


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