「ガザとは何かについて」

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岡真理氏

1960年生まれ。専門は現代アラブ文学、パレスチナ問題。東京外国語大学大学院修士課程修了。

学生時代に《パレスチナ》と出会い、以来、現代世界に生きる人間の思想的課題としてパレスチナ問題について考え続ける。著書に『アラブ、祈りとしての文学』、『ガザに地下鉄が走る日』、『ガザとは何か』ほか。

2009年より「平和を目指す朗読集団 国境なき朗読者たち」を主宰。学生・市民有志とガザをテーマにした朗読劇の上演活動をおこなっている。早稲田大学文学学術院教授。


レポート🌟

第7回全国勉強会【岡真理氏】4/26(金)

テーマ「ガザとは何か」

今月は、早稲田大学文学学術院教授で現代アラブ文学やパレスチナ問題を専門とされている岡真理氏に「ガザとは何か」についてお話しいただきました🌟

過去に二度ガザを訪問、ヨルダン川西岸地区にも一度訪問したことがあるというくしぶち共同代表から、まず始めにご挨拶☆

「ガザ含めパレスチナ問題というのは複雑な状況、歴史を負っている。日本の責任と役割が重要な時にきている。みなさんと一緒に考えていきたい。」

ピースボートの協力者として岡さんにも船で講義をしていただいていたご縁があるそうです✨

れいわ新選組が10月14日に声明を出し、(※攻撃が始まって一週間)
イスラエル大使館への抗議、外務省へ直接申し入れのアクションをおこなったことは記憶に新しい方もいらっしゃるはず。

■外務省への申し入れ
1.ガザの無差別攻撃と地上侵攻を許さない
2.国連などはパレスチナの占領政策、国際法違反の検証をするべき
3.日本はアメリカの同盟国として、アメリカにイスラエルの支援をさせるなという申し入れをするべき
4.人質は解放すること

この申し入れを非常に歴史性を抑えた行動であるとして、岡さんがれいわを評価してくださいました。


イスラエルによる大規模攻撃、つまり、ジェノサイドといえる状況は収束する気配すら見せていない。
きっとみなさんが一番気になっていることを結論から。

『今なぜこんなジェノサイドが起きているのか』
→何十年のもの間、イスラエルがいかなる戦争犯罪、人道に対する罪、国際法違反を犯そうとも、一度もきちんと正しく裁かれたことがない。
国際社会によるイスラエル不処罰という恥ずべき悪しき伝統がジェノサイドを可能にしてしまっている。

『ガザとは何か』
→近代500年、グローバルな歴史のその歴史的な今日に至るまでの諸矛盾が凝縮して、この半年間で一万数千人に及ぶ子どもたちの死という形で噴出している、そのような場がガザである。

…このことでさえ、私を含めほとんどの方が初めて知ったことではないのでしょうか…??(;´・ω・)


まず、現在ガザで起きていることはジェノサイドに他ならないということ。
それを「西側」諸国の主流メディアがジェノサイドの実態を十分に伝えていない(千分の一すら)こと。
さらには歴史的背景が消去された報道…

「ガザ・パレスチナには複雑な背景や歴史がある」とよくテレビでは言われていますが、これは

“脱植民地化の闘争であり、複雑なことが起きているわけではない。”
ということ。
安易に複雑・入り組んでいるといい、報道で説明しないで済ませる方便、詐術であると強く岡さんがおっしゃっていました。

では、戦争さえなければ良いのか?停戦になれば良いのか?
それだけではないということ。
私は早く停戦になることしか考えが及ばなかったので、ここの点にはビックリでした💦(もちろん、停戦も必要だし大事なこと)


みなさまに共有したい写真がこちらです。
破壊される前…2006年のガザ。

本当にキレイで…日本の地方都市よりも大きな都市だったということがよくわかります。

本来この緑豊かな土地が、昨年の10月7日以降このような状況に…。

ドミサイドにより、帰る家を無くした人々。
瓦礫・土砂の海、人道回廊までも攻撃。
攻撃開始から2か月でイスラエルはなんと広島型原爆2個分の爆薬を使用しているそうです。
核を使っていなくてもそれ相当のことが行われている事実に改めてショックを受けます…。


・ガザは2007年~イスラエルにより完全封鎖下(17年以上)
・煮炊きするための燃料もなく、材料として木が切られ緑がなくなっている
・イスラエルは大量殺戮だけではなく飢餓を戦争の武器として用いている
・病院も破壊され、さらには建物だけではなく医療従事者を殺害・食糧をもらいに行かなければ飢え死にする。取りに行けば殺されるかもしれないという状況
・既に11万人以上が殺傷されている
・北部からだけで100万人以上、(大量虐殺や強制移住などの)民族浄化されている。
・ラファでは人口20万のところに150万の人たちがテント生活
・北部では道ばたの草、馬やロバの飼料を食べて飢えを凌いでいる

目を覆いたくなるような現実が次々と突き刺さります…。

イスラエルはガザの16あった全ての大学を破壊し、研究者らも殺害。
200以上の遺跡、7世紀に建立された精神生活の拠り所と言えるモスクもピンポイントで破壊。
人類の文明、文化的なジェノサイドもおこなわれているのです…。

朝起きて、夜まで自分が生きているかどうかさえわからない。
ガザは21世紀の絶滅収容所と言っても過言ではないということ。

人間は土地と結びついた歴史的な記憶によって構成されているとおっしゃる岡さん。

つまりはこの殺戮を生き延びたとしても…
もはや、パレスチナ人がパレスチナ人として生きていく基盤自体が徹底的に壊滅されているという状態。
この現実に言葉を失いました。


さらに、語られない歴史的経緯があるということ。
〇2007年~イスラエルによる完全封鎖下
〇2006年 ハマースがパレスチナ評議会選挙で勝利
〇1967年~イスラエルによる軍事占領
〇1948年~イスラエルによる民族浄化、難民化

イスラエルという国家は
入植者植民地主義(ヨーロッパのユダヤ人がパレスチナに自分たちの国家をつくる)であること、民族浄化により建国されたこと。
ユダヤ人至上主義のアパルトヘイト体制を敷いていること。

ハマースその他、ガザの戦闘員らのよる武力攻撃は、実は占領と植民地支配・アパルトヘイトからの解放を求める脱植民地化の闘いであり、国際法上は正当な抵抗権の行使「抵抗の暴力」であること。

…みなさま、この事実をご存じでしたでしょうか?
抵抗だから決して暴力が許されるわけではないですが、もう成す術がそれしかないという現実なんですよね…。


ガザの人たちはハマースをどう思っているのか?と、
岡さんがよく聞かれる質問らしいですが、むしろ私たちが問うべきは“ガザの人たちは私たちをどう思っているのか?”

日本も間接的に共犯している現実があり…。
大石共同代表も言われていましたが例えば、万博へのイスラエルの参加要請は虐殺加担に他ならないという視点も。

【われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。】
素晴らしい憲法前文が日本にはあり、もっと誇りを持っていい。
そのために日本は行動すべき、もう一度そのことに気づきなおす、歴史の転換点であることに気づかせてもらったと、くしぶち共同代表が言われていました。


ここで、今回の勉強会について、Xでのご感想をご紹介👇

・岡先生、非常に熱く語られ強い正義感や倫理観から繰り出される魂の訴え、どことなく太郎さんを感じました。
・イスラエルの歴史を学んでいたのでよく理解できました。
米仏の学生たちによるガザ支援運動が起きていますが、日本人としては対米従属を脱することなのですね。

つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆



最後に、岡さんのお話しで私が気になったこと。
ガザにはハヤート(LIFE)がないと言われているそうです。(生活、人生、命、生)
つまり、ガザで生きることは “人間として生きていることにならない” ということなんです。
生きながらの死に等しい。こんなガザで生きているより、自殺したほうがよい…と多くの若者が命を断っています。
イスラムでは自殺は殺人と同じ。永遠に地獄で苦しむことになるとされているが、ガザ自体が地獄。
ガザからは、世界は私たちを見捨てているとの声が上がっています。

戦争さえなければよいのか?
繰り返しになりますが、そのような簡単な話ではないということ。

私たち日本人に何ができるのか?
「自分たちがおかれている場で行動を起こすことが大事なこと」
「日本自体を脱植民地化すること」を強くおっしゃっていました。
改めて一人ひとりが考え、行動を起こすきっかけになることを願います。

この凄まじい現実に対して岡さんの魂の叫びともいえる、私たちが一般の報道では聞くことが出来なかった見解をお教えいただきました。

遅い時間までのお付き合い、ありがとうございました。


今回のテーマにもなった岡真理さんの著書はコチラです。
 ↓
〇ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義 – 2023/12/24


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