
第28回全国オンライン勉強会【伊勢崎賢治氏】2026/1/23
「主権なき平和国家~日米地位協定からみる日本~」
伊勢崎 賢治
いせざき けんじ
東京外国語大学名誉教授、平和学研究者、参議院議員
平和学研究者、専門は平和構築・紛争予防。国際NGOでインドのスラムでの住民運動の組織化やアフリカでの開発援助に携わる。国連PKO上級幹部として東ティモールで県知事を務め、アフガニスタンでは武装解除を指揮。著書『本当の戦争の話をしよう:世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社)など多数。

レポート
今回の全国オンライン勉強会は、
紛争解決・平和構築の専門家であり参議院議員でもある
伊勢崎賢治さんをお迎えして開催しました。
司会はさかぐち事務局長。
当日は衆議院解散という緊迫した政治状況の中での開催となりました。

始めに、くしぶち本部長の挨拶😊
皆さん、こんばんは。衆議院が解散されました。こんな暴力的な権力の乱用は本当に許せません。いま日本も国民の生命・財産も危うい、大きな歴史の局面に立っています。
だからこそ、歴史を見る側ではなく作る側にならなきゃいけない。『主権なき平和国家』というテーマを通して、いま日本が置かれている状況をみんなで共有し、主権国家として新しい歴史をつくる礎にしたい。
代表の辞職で不安な方もいると思います。でも私は悲観していません。6年間、皆さんが作ってきたれいわ新選組という政治のプラットホーム。みんなで心を合わせましょう。今日はよろしくお願いします。
それでは、伊勢崎さんの講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟緩衝国家と代理戦争の構造
講演の大きな柱となったのが「緩衝国家」という概念です。
伊勢崎さんは、ウクライナ戦争を例に挙げながら、緩衝国家では国内が必然的に二極化しやすく、その対立構造を大国が利用することで、代理戦争の舞台になってしまうと説明しました。
そして、その構造の中で実際に命を落とすのは当事国の市民である、という現実に目を向ける必要があると指摘します。
第三国はどちらかを「応援する」立場ではなく、本来は停戦を仲介する立場にならなければいけないのです。
さらに、NATOがアフガニスタンから撤退した経緯にも触れ、大国が関与する戦争の構造についても解説しました。
🌟“トリップワイヤー化”する日本
次に紹介されたのが「トリップワイヤー」という抑止戦略の概念です。
これは、緩衝国家に小規模な軍事力を置き、有事の際にその国を犠牲にして大国が本格的に介入するための“仕掛け線”を指します。
伊勢崎さんは、日本と韓国は、国土全体がトリップワイヤー的な役割を担う構造に置かれていると述べました。つまり、日本列島が大国間対立の前線として機能する可能性があるということです。
🌟国連軍と“自動的参戦”の構造
講演の核心の一つが、朝鮮半島有事と国連軍地位協定の問題でした。
日本は朝鮮国連軍の正式な構成国ではありません。しかし在日米軍基地は、国連軍の後方基地と位置づけられています。
横田や嘉手納などの基地は自動的に国連軍基地となり、必要と判断されれば、他の在日米軍基地も組み込まれる仕組みになっています。
もし在日米軍基地から北朝鮮を攻撃すれば、その瞬間、日本は国際法上の交戦国となり、報復の対象になります。その枠組みは、日本の意思決定とは切り離された形で動く可能性があると指摘しました。
伊勢崎さんは、韓国前大統領(ユン・ソクヨル氏)が「自動的に介入する」と発言していることを紹介し、この重大な構造がほとんど報道されていない現実を指摘しました。
つまり日本は、戦争の意思決定には加われないまま、制度上「当事国」になり得る立場に置かれているということです。
🌟緩衝国家はどう振る舞うべきか
講演の終盤では、緩衝国家が必ず戦場になるとは限らないという視点も示されました。
例として挙げられたのが、ノルウェーの外交姿勢です。
また、オスロ合意にも触れ、緩衝的な立場を外交資源として活用する可能性が紹介されました。
ここで紹介したのは講演の一部です。
他にも、
・NATOのアフガニスタン撤退の経緯
・バルト三国を例にしたトリップワイヤー戦略の解説
・北極圏(北極評議会)をめぐる国際秩序の変化
・憲法9条をめぐる議論と社会の空気
など、より踏み込んだ内容が語られています。
ぜひ会員限定アーカイブで全編ご覧ください🌟
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次は皆様からの質疑応答タイム🌟
今回も多くの質問が寄せられました。ここでは、3つの質問をご紹介します。
- 緩衝国家として日本が平和に貢献するとしたら、具体的にどんなことができるのでしょうか?
-
それを話し出すとね、もう一つの政策になるんですよ(笑)。いまちょうど具体的なポリシーペーパーにまとめようとしているところなんですけどね。
やっぱり北東アジアを見なきゃいけない。中国、ロシア、アメリカ、北朝鮮、韓国、日本。この6カ国です。平時から共通の利益で協力する枠組みを作る。たとえば海賊対策とか、海洋資源を守るとか。
それから有事になったとき。いきなり政治問題にしないで、まず現場で収める仕組みを作るんです。CBMって言いますけど、信頼醸成措置ですね。衝突したら、まず現場の人間同士で話し合う。何が問題だったのか整理して、それから上に報告する。
領土問題も同じです。ノルウェーとロシアは40年争って、バレンツ海を共同開発で合意しました。できるんですよ。
9条の国がね、隣国とずっと領土問題を抱えているのはおかしいでしょう。共同管理、共同開発って道もあるはずなんです。まず日韓がコアになって、そこから北朝鮮に向き合う。それをコアにして超大国を引き入れてビジョンを作るっていう。やりましょうね。阪口さん、一緒に。
- もしアメリカが日本から完全にいなくなったら、日本の安全保障はどうあるべきでしょうか?
-
アメリカがいなくなるなんてあり得ないって言う人、多いですよね。でもね、僕はアフガニスタンでそれを見てきたんです。突然いなくなるってことは、現実に起きる。じゃあ軍事費を倍にして穴埋めするのか。そうなったら日本は巨大な軍事国家になりますよ。
僕はね、9条の世界を目指すべきだと思っています。専守防衛って言葉ありますよね。あれ、日本が作った概念なんです。9条の原文には“war potential”、戦争潜在能力を持たないって書いてある。それに、これだけ原発が並んでいる国で戦争できますか?ウクライナで何が起きたか見たでしょう。
結局ね、対話しかないんです。9条は白旗ですよ。でもね、自分だけ助かる白旗じゃない。相手の子どもを思う白旗なんです。それが9条の心だと僕は思っています。
- 戦争を起こした国が復興責任を負わないのはおかしいのではないでしょうか?
-
理屈ではね、壊した側が責任を負うべきです。でも現実の停戦交渉では、恩赦が条件になることがあるんです。僕が関わったアフリカでも、アフガニスタンでもそうでした。戦争犯罪を問わない代わりに、武器を置かせる。正義は諦めてはいけない。でも戦いを止めるために、苦しい選択を迫られることがあるんです。
ICCの理念は絶対に諦めちゃいけない。でも停戦の現実もある。このジレンマが、いまガザやウクライナで起きていることなんです。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想👇
つぶやいてくださった皆様、感謝です☆
◆こんなに分かりやすい日米地位協定の解説は今までに聞いたことがありません。伊勢崎さんがれいわに入ってくださったことがきっかけで、私はれいわの一員になる気持ちを固め、オーナーになりました。今後ますます勉強します。よろしくお願いします。
◆北東アジアは原発密度が高い。だから専守防衛もできない。対話のみ✨
◆伊勢崎さんの話を家で聴けるなんてサポーターでよかった。この話を政権の人が聞いても何も変わらない。やはり、れいわが政権を取るしかありませんね。
◆日本の安全保障を考える上で重要なお話しでした。知らなかった事もありました。これまでのプラットフォームだと海外から見れなかったので大変ありがたいです。
最後に、くしぶち本部長からの質問とさかぐち事務局長からコメントがありました。
伊勢崎さん、ありがとうございました。私から2つ、質問させてください。一つはですね、これから全国のボランティアの皆さんと一緒に、日本を変える選挙に向き合っていくわけですが、安全保障の面で、今回の選挙の“キーワード”を一つ挙げるとしたら何か。そしてもう一つ。もし万が一、高市政権が誕生するようなことになれば、それは大きな歴史の転換点になるのではないかと、私は強い危機感を持っています。いま私たちは、この歴史の瞬間の当事者であり、主役でもあると思っています。歴史を後戻りさせてはいけない。国際秩序はやり直しがきく、というお話もありましたけれども、これだけ世界が揺れ動く時だからこそ、日本は平和国家としての原点に立ち返るべきではないか。その点について、伊勢崎さんのご見解をお聞かせください。
最初はね。トランプは耳障りな目覚まし時計。2番目はやっぱり僕は9条だと思います。さっきは専守防衛の話をしました。その概念というのは大変大変、紆余曲折の中で、日本の憲法における神学と現実と憲法の理想、9条の理想をどう歩み寄らせるか。その中でこういう概念が生まれちゃったわけですよね。気がついたら世界有数の軍事国家になっていた。常に。これは多分ね、改憲派護憲派、両方の責任だと思います。特に護憲派として本当の護憲派でありたい。れいわ新選組はその一員としたい。だから今またスローガン的に過激なこと言っていいですか? “護憲派から9条を取り戻す” ダメ?激しすぎる?
“真の護憲派たれ”ということですよね。私も紛争地をいくつか見てきましたが、いまほど日本の平和憲法、そして平和国家としての存在が大事な時期はないと思っています。日本にとっても、アジアにとっても、世界にとってもです。歴史をつくるのは私たち一人ひとり。その覚悟で臨みたい。それが主権者ということじゃないでしょうか。この歴史を左右するのは、私たちの一票です。隣の人に、友達に、家族に、どう思う?と声をかける。そういう対話を、タブーなく広げていく時代なんだと思います。 “護憲派から9条を取り戻せ” このキーワードで進めていきましょう。日本を守るとは、あなたを守ることから始まる。ここからスタートです。皆さんよろしくお願いします。
伊勢崎さんの渾身の思いを今日は聞かせていただいて、れいわ新選組の理念をしっかりと形にしていく、そのきっかけにしたいと思いますので、ぜひ皆さん応援をお願いしたいですし、一緒にこれからもね、歩んでいきましょうね。よろしくお願いいたします。
今回の勉強会は、国際秩序が揺れる時代の中で、日本の平和国家としての立ち位置を改めて問い直す時間となりました。
ウクライナ戦争の時に、
「命が大切だよ。紛争当事者の片方を応援してはいけない。」
と明確に語った政党が一つだけあった。それが、れいわ新選組だった。そこかられいわとの関わりが始まったとお話しいただいたことが、とても印象的でした。
“生きててよかった”と思える社会の実現に向けて、私自身も考え、歩み続けていきたいと思います。
伊勢崎賢治さん、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました🌟


伊勢崎賢治さんの著書もぜひチェックしてみてくださいね☆
↓
〇14歳からの非戦入門 – ビジネス社 2024/5/23
〇文庫増補版 主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿 – 集英社 2021/10/20
〇本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る – 朝日出版社 2015/1/15
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