
第25回全国オンライン勉強会【はんどう大樹氏】2025/10/24
「檻の中のライオン~憲法ってなんだろう~」
はんどう 大樹
はんどう たいき
弁護士
1975年生まれ。ひろしま市民法律事務所所長 ・弁護士。
国家権力をライオン、憲法を檻にたとえた憲法入門書『檻の中のライオン』を2016年に出版、憲法書としては異例のベストセラーに。
中学公民資料集、中学・高校入試、高卒認定試験(文科省実施)など教育現場でも使われている。
一般向け書物の講演会では「憲法がわかる46のおはなし」として、視覚的にも工夫をして分かりやすい憲法講義活動を行い、小学生から高齢者までファンを増やし続けている。
講演活動は口コミで全都道府県に広がり1,200回を超える。

レポート
今回の全国オンライン勉強会では、弁護士であり『檻の中のライオン』著者のはんどう大樹さんを講師に迎え、憲法ってなんだろう?をテーマにお話しいただきました🌟
はんどうさんは全国各地で憲法の講演を行い、政治の話がタブー視されがちな空気を変えようと活動を続けています。
講演では、憲法を「檻」、国家権力を「ライオン」にたとえながら、私たち主権者が政治をどう支えるべきかを、ユーモアを交えて語りました。

始めに、くしぶち本部長の挨拶😊
全国の皆さん、こんばんは。いつもボランティアで支えてくださり、本当にありがとうございます。臨時国会が始まり、ご存じのとおり高市政権が誕生し、自民党と維新が連立政権を組みました。その合意書には「憲法改正」や「緊急事態条項」を今国会中に議論し、来年度中に条文を提出するという内容が書かれていました。しかも高市首相は今日の所信表明で、自分の在任中に憲法改正をやると明言しました。私は断固反対です。今日はまさにこのタイミングで、はんどうさんに憲法の本質を語っていただける貴重な機会です。「檻の中のライオン」の意味をみんなで共有し、歴史を後戻りさせない、そんな時間にしたいです。どうぞよろしくお願いします。
それでは、はんどう氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟憲法は“政治をつくるルールブック”
はんどうさんはまず、「憲法は政治をつくるためのルールブック」だと説明しました。社会科で暗記するだけのものではなく、主権者である私たちが“使うもの” だと強調します。
「偉い政治家が使うんじゃない。憲法を使って政治をつくるのは、主権者である私たち一人ひとりなんです。」
右や左の立場を超えて、みんなで使いこなしていくものだということです。
🌟“檻”と“ライオン”で考える立憲主義
はんどうさんの代表作『檻の中のライオン』では、国家権力を“ライオン”に、憲法を“檻”にたとえます。ライオン(国家権力)は強く頼もしい存在ですが、暴れれば危険。そこで暴れないように「檻(憲法)」を設け、国民が安全に暮らせるようにしています。
「檻をつくるのはライオンではありません。私たち国民が、自分を守るために檻をつくるんです。」
この考え方こそが 立憲主義。政治は憲法の枠内で行われるべきという基本を、イラストやクイズを交えながらわかりやすく解説しました。
🌟憲法を守るのは誰?
正解は「私たち」…ではなく、「公務員」。
憲法第99条には、天皇、国務大臣、国会議員、裁判官などの公務員は憲法を尊重し、擁護する義務があると明記されています。
「政治家が憲法を破る政治をしていたら、『それはダメでしょ』と言わなきゃいけない。それが主権者である私たちの役割です。」
政治に無関心でいれば、権力は好き勝手に動いてしまう。だからこそ、「政治に関心を持ち、投票に行くこと」が立憲主義を守る第一歩だと呼びかけました。
🌟人権と民主主義の根っこにあるもの
憲法13条を最も大切な条文として紹介。
「すべて国民は、個人として尊重される」
この条文には、“すべての人が自分らしく生きられる社会をつくる”という憲法の原点が込められています。そこから「国民主権」や「民主主義」といった幹が育ちます。多数決も大切ですが、少数派の人権を守ることこそ民主主義の本質です。
🌟「政治の話はしない方がいいって本当?
「政治の話をすると変な目で見られる」
そんな空気こそが、民主主義を弱らせると、はんどうさんは語ります。
「民主主義は“話し合うこと”から始まります。だからまずは、ニュースを見ながら、身近な人と話してみましょう。」
政治を“遠いもの”にせず、日常の話題にすること。そんな一歩が、主権者としての行動につながると呼びかけました。
ここで紹介したのは講演の一部です。
後半では、平和や人権を守るために私たちが何をすべきか、そして安倍政権以降の憲法逸脱の動きについても具体例を交えながら語られました。
ぜひアーカイブ映像もご覧ください🌟
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次は皆様からの質疑応答タイム🌟
今回もたくさんの質問が寄せられました。ここでは、その中から特に印象的だった4つを紹介します。
- 国民が法律を破れば処罰されますが、政府や国会議員が憲法違反をしても罰則がないのはなぜ?日本にも憲法裁判所のような仕組みをつくれないのでしょうか?
-
政治家を罰する仕組みは、私たち主権者が担っています。声を上げ、選挙で意思を示すことこそが「罰」です。裁判所による違憲判断もありますが、現状では人権侵害など具体的な被害がないと扱われにくく、十分ではありません。憲法裁判所を設ける案もありますが、これには改憲が必要です。結局、私たちが罰するんだよということです。あんまり関心を持っていない人が多いから、やりたい放題まかり通ってんだよということです。
- 比例代表の削減は民意を反映しにくくし、憲法違反ではないですか?
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非常にタイムリーな問題です。議員数削減の合理的な理由が見当たらず、「身を切る改革」的な政治的パフォーマンスに見えます。数を減らせば民意が狭まり、独裁的な構造に近づく危険があります。特に比例枠を削ると小さな政党が排除され、弱者の声が届かなくなります。憲法上は、選挙制度の仕組みは法律に委ねられている(47条)ため、すぐに違憲とは言いづらいですが、「おかしいことはおかしい」と声を上げていく必要があります。
- 憲法は権力を縛るものなのに、なぜ国民の義務が定められているのですか?
-
義務は「国のため」ではなく、誰かの権利を支えるために書かれています。教育を受けさせる義務(26条)は、子どもの「学ぶ権利」を守るため。勤労の義務(27条)は、生活保護などの制度を適切に運用するため。納税の義務(30条)は、社会を支える仕組みを市民が自らつくるため。つまり、「義務があるから従え」ではなく、権利があるからこそ義務が生まれるということ。私たちの投票行動と税制のあり方はつながっているんだよということです。
- 公共性のある大企業も、憲法を守る義務があるのでは?
-
企業も「法人」という人です。本来、憲法は国家権力を縛る法ですが、民間同士の関係にも間接的に影響します。これを「私人間効力(しじんかんこうりょく)」といいます。民法の解釈の中に憲法の価値を反映させる形で適用されています。
質疑応答、本当にたくさんの質問をいただきました。特に講演が始まってからは、驚くほど多くの質問が寄せられていて、今回の勉強会への関心の高さを感じます。はんどうさんのお話が、それぞれの中にある問題意識を待ってましたとばかりに、皆さん改めて問いかけてくださったのかなと思います。本当にありがとうございました。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想です👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆
◆どこかの誰かが、アメリカから押し付けられた憲法と言ったことから、憲法の大事さを知らない人たちが、外人排除と伴って、単純に改憲派に賛成している気がする。
◆以前に友人から「檻の中のライオン」クリアファイルをいただいたことがあります。憲法の本質に触れられました。特に「義務を果たさないと権利、人権はない」という条項は存在しないという発見がありました。
◆選挙の時だけでなく選挙後もライオンを監視する義務が私達にはある。
最後に、くしぶち本部長からコメントがありました。
はんどうさん、ありがとうございました。お話の中で通底しているのは「主権者は国民、あなたなんだ」ということでした。政治家が憲法違反をしたときに「罰するのは私たち」、まさにこれです。選挙でそうした政治家を選ばない。それこそが民主主義の根幹です。また、「納税の義務」や「公職選挙法」のお話からも、法律をつくるのは国民の代表であり、最終的には私たちの手に委ねられていることを改めて実感しました。今まさに議論されている比例議席の削減は、単に議員を減らす問題ではなく、主権者が声を届ける仕組みそのものを壊しかねません。主権者が国民であるためには、比例の議席だけを減らして、結果的に国民の権利を削ってしまうようなやり方はダメです。ぜひ、引き続き関心を持って見ていってほしいと思います。
今回の勉強会で学んだのは、憲法を知り、考え、語り、使うこと。
平和や人権を守る政治をつくるのは、偉い人ではなく私たち自身だということです。
“檻の中のライオン”というたとえを通して、憲法がぐっと身近に感じられる講演でした。
憲法を遠いものではなく、自分たちのものとして使っていく。
今日の勉強会は、その一歩を一緒に踏み出せた時間だったと思います。
声を上げ、“生きててよかった”と思える社会を一緒につくっていきましょう!
はんどう大樹さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟


はんどう大樹氏の著書もぜひチェックしてみてください!
↓
〇改訂版 茶番選挙 仁義なき候補者選考 – あけび書房 2025/6/6
〇改訂版 檻を壊すライオン – かもがわ出版 2024/10/28
〇檻の中のライオン – かもがわ出版 2016/6/22
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