HOME ボライベ 全国オンライン勉強会 第17回全国オンライン勉強会【日野行介氏】

「3.11原発事故から14年。原発再稼働の実相とは?」

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日野行介氏

日野行介氏

ジャーナリスト・作家。元毎日新聞記者。

社会部や特別報道部で東京電力福島第一原発事故の被災者政策や、原発再稼働をめぐる安全規制や避難計画の真相を暴く調査報道に従事。

「除染と国家 21世紀最悪の公共事業」(集英社新書)、「調査報道記者 国策の闇を暴く仕事」(明石書店)、「福島原発事故県民健康管理調査の闇」(岩波新書)、「情報公開が社会を変える」(ちくま新書)など多数。


レポート🌟

第17回全国オンライン勉強会【日野行介氏】2025.2.21(金)


今月はジャーナリスト・日野行介氏を迎え、原発再稼働の実相について
お話いただきました。
福島原発事故から14年、本当に教訓は生かされているのか?

冒頭、さかぐち事務局長から、「日野氏は、国家が事実を国民の目から隠す構造を、調査報道の手法で追い続けてきた第一人者。」とご紹介。
山本太郎代表の強い希望もあり、このような機会が実現しました🌟

さかぐち事務局長、日野行介氏、やはた愛議員、くしぶち本部長

くしぶち本部長の挨拶!

来月で3.11から14年。当時、私は民主党政権の衆議院議員でしたが、原発事故対応の現場にいて、やりきれなさを感じました。その後の安倍政権、岸田政権、そして今の石破政権で状況はどんどん悪化し続けています。つい先日、政府は「原発依存度を下げる」という方針を削除し、「原発を最大限活用する」と閣議決定しました。まるで事故前の状態に逆戻りです。今日は、再稼働の問題をしっかり共有し、これからどう戦うべきかを考えたいと思います。日野さん、どうぞよろしくお願いします!

それでは、日野氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟



🌟規制委員会の本当の役割

「原子力規制委員会」と聞くと、多くの人は“原発の安全を厳しくチェックする機関”と思うかもしれません。しかし実態は、再稼働の可否を判断する場。つまり、合格者を出すための試験をしているのです。2013年に新たな安全基準が施行されると、各電力会社が再稼働申請を開始。政府は「世界一厳しい基準」とアピールしましたが、実際には火災対策や地震・津波対策が多少強化された程度で、本質的な安全向上にはつながっていません。


🌟「基準不適合」でも止められない原発

安全審査では、自然災害リスクが過小評価されることが多く、再稼働後に基準を満たしていなかったと判明しても、原発は止められないのが現状です。その対応策は、定期検査の際に少しずつ対策するというもの。
福島原発事故の最大の教訓は“運転中の原発はリスクが大きい”ということ。しかし、規制委員会はその前提を無視し、基準不適合でも運転を止めようとしません。


🌟インチキ避難計画と再稼働のカラクリ

避難計画は再稼働の前提であるべきですが、法律上は義務付けられていません。そのため、国は「再稼働とは関係なく、核燃料がある限り避難計画は必要」と言い、自治体に策定を求めています。一方で、裏では「運転しなければ避難計画は不要」と考えているという二枚舌。
さらに、避難計画の策定プロセスは密室で進められ、自治体は国の指示に従って書類を埋めるだけの状態になっています。これが「机上の空論」と言われる理由です。


🌟情報公開が「嘘の行政」を暴くカギ

私は、情報公開請求を活用し、原発行政の闇を暴いてきました。役所は「隠蔽」と指摘されるのを嫌がるため、情報公開を求め続けることが重要だと指摘します。行政の嘘に騙されないためには、まず事実を把握することが必要。役所の議事録や会議録を分析し、どこに矛盾があるのかを突き止める。これは原発に限らず、駅前再開発や学校統廃合など、自治体の事業にも応用できる手法です。




上記がお話いただいた主な内容です✨



日野行介氏
日野行介氏




次は、皆様からの質疑応答タイム🌟
今回も多くの質問をお寄せいただきました。


なぜ国は原発再稼働を進めるのか?

原発行政はすでに制度として動いており、関係する省庁や自治体が増えたことで、みんなが「辻褄合わせのための辻褄合わせ」をしている状況です。大きな圧力があるというより、撤退する方が政治的なエネルギーがかかるため、流れのまま再稼働が進んでいます。

原発を止めるために何をすればいいのか?

「止める」とは何を指すのか明確にすることが重要。単に今すぐ運転をやめることなのか、それとも廃炉にすることなのか。それによってやるべきことが変わってきます。運転をさせないってことが基本線。一度運転をすると、それを続けるためのいろんなインチキがあるわけです。インチキを暴き、制度を正していくことが必要です。

情報公開請求で本当に欲しい情報を手に入れるには?

まず、「自分は何を知りたいのか?」を整理するのが大事ですね。例えば「危険性を証明したい」のか、「行政の嘘を暴きたい」のか。それによって狙う情報が変わってきます。僕は危険かどうかを証明するために情報公開請求してるわけじゃなくて、行政がどこで嘘をついてるのかを突き止めるためにやっています。狙い目としては「非公開の会議」や「政策の根拠になってる調査報告書」ですね。

除染作業には闇があるって本当ですか?

除染って、そもそも被ばくを防ぐためじゃなくて、「避難指示を解除して事故を終わったことにする」ためにやってるんですよ。つまり、闇というより最初から全部嘘なんです。

原発に関する報道は圧力で制限されているのか?

原発の記事が圧力でボツになったことはありません。ただ、非正規労働を報じた際に企業側の反発で記事が載らなくなったことはあります。原発に関してボツになったことはないです。むしろ、原発行政は「大きな力が支配している」というより、制度として動いてしまっているという感じですね。原発の問題を考えるとき、恐怖で語るのはよくないと思うんですよね。「怖いから反対」という感情的な話じゃなくて、行政の仕組みの問題や嘘を冷静に見ていくことが重要だと思います。


質疑応答後は、原発行政の本質や避難計画の問題点について、さらに掘り下げた議論が交わされました。
詳細はぜひ、アーカイブでご覧ください🌟


今回の勉強会について、ネット上でのご感想です👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆

◆今回のお話は原発推進派の人達にも是非聞いてもらいたい行政のずさんさが語られています。
反原発という目線とは少し違う内容だと思いますので、覗いてみる価値ありです。

◆れいわ新選組ボランティア本部全国オンライン勉強会 日野行介さんの話を聞いた
何か巨悪が操ってるとは見えず、ただ荒野を漠然と進む原子力行政が悪を生んでる状態
始めたら止まらない終わり方を決めてない制度、大日本帝国そのものだな

◆凡庸な悪の積み重ねが、原発という巨悪に…
反対派を喜ばせるために記事を書いていない、と一線を引く
地道な情報公開請求で原子力政策の虚を暴いてきた日野行介さん
事実を透かして可視化、言語化しその誤魔化しの実相を浮かび上がらせると、それは荒野だと…政府、まともな仕事してくれ…

◆昨夜の #日野行介 の講演とその反応から、「原発は怖い」とか「〇〇の闇」といった大雑把な言葉に恐怖心を煽られて、私たちは具体的な実態に触れないまま、政治から遠ざけられてしまっているのと同様に、問題を避けて、そのすべてにただ否定的な反応をするという、何の実効性もない、却って問題進行に。

最後に、やはた愛議員、さかぐち事務局長、くしぶち本部長からからコメントをいただきました🌟

今日は色々考えさせられました。川内原発の運転差し止めが認められなかったというニュースもあり、やっぱり原発は止めるべきだと改めて感じました。人は過ちを犯すものだから、反省してアップデートしていくしかない。2011年の原発事故も『想定外』で済ませるべきではありません。原発がなくても困らないし、安全な方がいい。経済政策も大事ですが、まず“生きること”が最優先。放射能で住めなくなったら、経済どころではないですよね。改めて原発問題を深く考えました。これからも学び続けたいです。

原発政策は、大きな力や巨悪によって決められていると思っていましたが、実は職務に忠実で、目の前の原発行政を一生懸命やっている普通の公務員たちが、この問題を生み出している要因なのかもしれないと感じました。彼ら個人が悪いわけではなく、日本の行政システムそのものに問題があるのではないかと、先生のお話を聞いて改めて考えさせられました。

行政の一つ一つの積み重ねが原発行政を作っていると考えると、背筋が寒くなりました。歴史を振り返れば、真面目な人たちがシステムの中で大きな過ちを生んできたこともあります。この現実をどう変えていくか、れいわ新選組としてもしっかり議論していきたいです。本当に今日はありがとうございました。政治家も国民も、一人ひとりが意識を持って行動することが大切ですね。これからも力を合わせて頑張りましょう。遅くまでありがとうございました。


今回の勉強会を通じて、原発行政の根深い問題が改めて浮き彫りになりました。
表向きは厳格な安全基準や透明性を掲げながらも、実態は虚構に満ち、私たちの知らないところで再稼働が進められている…。

原発の再稼働は本当に必要なのか? 行政の隠された意図にどう向き合うべきか?
事実を知ることが、変えるための第一歩です。今回の学びを、これからの行動につなげていきましょう!

日野行介さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟

さかぐち事務局長、日野行介氏、くしぶち本部長、やはた愛議員
さかぐち事務局長、日野行介氏、くしぶち本部長、やはた愛議員

日野行介氏の著書もぜひチェックしてみてください!
 ↓
〇情報公開が社会を変える 調査報道記者の公文書道 – 筑摩書房 2023/11/9
〇調査報道記者 国策の闇を暴く仕事 – 明石書店 2022/6/30


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