「人を幸せにする経済成長とは?」
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斎藤幸平氏

東京大学大学院総合文化研究科准教授。
専門は経済思想・社会思想。『人新世の「資本論」』(集英社新書)著者。マルクス・ガブリエルらとの対談集『未来への大分岐』(編著・集英社新書)など。
気候変動やコロナも資本主義が根本原因と考え、安易なSDGsへの取り組みに警鐘を鳴らす。
最悪のシナリオをさける為には資本主義をやめ脱成長コミュニズムに移行する必要があると説いている。
レポート🌟
第16回全国オンライン勉強会【斎藤幸平氏】2025.1.18(土)
『人新世の資本論』で話題の斎藤幸平氏が登場!「経済成長」と「幸福」の関係を問い直し、持続可能な社会への道筋を描く斬新な講演が行われました。
ドイツから参加された斎藤氏の鋭い視点と大胆な提案に、多くの参加者が心を揺さぶられる時間となりました🌟
司会進行はさかぐち事務局長。安定感抜群の進行で、毎回勉強会をスムーズにまとめてくださいます。

初めに、くしぶち本部長の挨拶!
皆さん、こんばんは!今年もよろしくお願いいたします。 2025年新春第1弾として、今この時代をどう見るのか、私たちがどう生きるべきかという本質的なテーマを考える場にしたいと思い、斎藤幸平さんにゲストをお願いしました。ドイツからのご参加ということで、国境を超えてお話を伺えるのが本当に楽しみです。
れいわ新選組は経済成長を取り戻すという視点で活動していますが、斎藤さんの著書からは成長を一旦脇に置いて、これからの幸せや豊かさを考えようというメッセージを受け取りました。今日は、皆さんとこれからの未来を多面的に考える機会になればと思っています。斎藤さん、どうぞよろしくお願いします。
それでは、斎藤氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟成長が幸せをもたらさない時代へ
冒頭、斎藤氏は「経済成長=幸福」の公式を真っ向から否定。「一定の成長を超えると幸福度は上がらない」とするイースタリン・パラドックスに触れ、物があふれ、生活が便利になる一方で、競争が激化し、人々は幸せになっていない。現代の経済は、庶民の幸福を十分に実現できていないと指摘しました。
また、電気自動車やリサイクル技術が導入されても、大型車両の生産やファストファッションの大量消費が続く限り、環境負荷を本質的に削減できません。単に技術革新を進めるだけではなく、社会全体の働き方や消費のスタイルを根本的に見直すことが必要です。
🌟「脱成長」とは何か?
斎藤氏の提唱する「脱成長」は、貧しくなろうという話ではなく、GDPや経済成長を最優先にする考え方から脱却し、真の豊かさを追求すること。具体的には、環境破壊や格差拡大を防ぐ持続可能な経済を目指し、成長以外の価値観を重視する社会へと転換する必要があります。
例えば、教育や医療、住宅といった生活に不可欠なサービスを、個人の負担に委ねるのではなく、社会全体の共有財(コモンズ)として提供すべきだと語りました。
🌟格差の拡大と環境破壊
コロナ禍で資産を増やした1%の富裕層と、低賃金でリスクを背負うエッセンシャルワーカー。この構図は、社会に根深い格差を浮き彫りにしました。さらに、富裕層が排出する二酸化炭素量は、地球の下位66%の人々の総排出量に匹敵します。
また、富裕層が大量消費によって地球環境へ大きな負荷をかけながらも、災害時には柔軟に適応できる一方で、脆弱な立場の人々が最も被害を受ける現状を指摘。経済成長が進む一方で、社会の格差は拡大し、地球環境は深刻なダメージを受け続けています。
🌟共事者としての行動を
「共事者」とは、自分が直接的な当事者ではなくても、他者の課題を自分ごととして捉え、共に行動する立場を指します。
福島で地域復興に取り組む小松理虔氏の言葉を引用し、例えば福島のお酒や食べ物を楽しむときでも、つながりを感じ、共事者として考えることができると説明。身近な社会問題に目を向け、選挙や地域活動に参加することが、共事者としての第一歩になると強調しました。
上記がお話いただいた主な内容です✨
この他にもたくさんのお話をいただきました。詳細はぜひアーカイブ(期間限定)でご覧ください🌟


次は、皆様からの質疑応答タイム🌟
今回も多くの質問をお寄せいただきました。
- 人々が脱成長の意識に転換するには?
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人類の歴史を振り返ると、過去には奴隷制や同性愛への偏見などがあったが、これらは時代と共に変わってきた。なので、脱成長についての意識が変わる可能性も十分にあると考えています。新しい価値観を持つ若い世代が増えており、50年くらいのスパンで見ると、成長や豊かさに対する考え方も大きく変わるかもしれません。
- 社会を変えるための創造力、「3.5%の人々」についてれいわ新選組の支持者に対するメッセージがあればお願いします。
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例えば、METOO運動のように、最初は小さな声でも、やがて大きな社会的影響を与えることができる。これは、性別や環境問題に関しても同じで、少数派が新しい価値観を作り出す瞬間が訪れると、マジョリティと対立しながらも社会が変わる可能性がある。そのため、れいわ支持者の皆さんも、変化を生み出す「3.5%」の一員になってほしい。自分が大切に思う問題を変えるために一歩踏み出し、普遍的で短期的ではないようなものにつながっていけるかっていう視点をぜひ入れてほしいです。
- 経済成長を止めるとデフレや倒産が増え、社会保障も維持できないのでは?
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現在の経済システムでは経済成長と緩やかなインフレが基本的に必要ですが、実際には成長が期待できない状況です。日本やドイツも経済成長が停滞しており、少子化や環境問題も進行中です。従来の成長主義に固執するのではなく、社会にとって本当に必要なニーズを見つけ、地域活性化や再分配を通じて新たな社会像を模索することが重要です。経済成長に縛られずに、もう一回経済の仕組みや制度、財政のあり方を考え直していった方が、より良いアイデアが出てくるのではないでしょうか。
- れいわ新選組が生きているだけで価値のある社会を目指す中で、経済政策だけでは人々が幸せになれるかは疑問。れいわの政策との親和性について知りたい。
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脱成長や積極財政、グリーンニューディールといった多様なアプローチがあれば良いと考えています。エッセンシャルワーカーの問題、例えば少子高齢化や環境問題に対して、どんどん議論を通じて活性化していく。れいわ新選組の方向性には共感しており、人々の苦しみ、地球環境とか命というものを大切にしながら、同時にあわせて大きなビジョンを出していけたらと、期待しています。
- マルクスの遺稿で提唱された参加型の共同体思想を再考し、社会に問いかけていることが価値あると感じています。斎藤先生はご自身の研究の価値をどう感じていますか?
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20世紀には資本主義と社会主義の競争があり、それによって生まれた恩恵もあった。しかし、ソ連崩壊後の30年間で、資本主義を批判する声は弱まり、結果として「今だけ、金だけ、自分だけ」の社会が加速してしまった。マルクスの思想を参考に、資本主義を超える新たな社会の可能性を模索することが必要だと感じています。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想です👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆
◆すごく、すごく勉強になりました。
お金もちろん大事✨👍
だけど、この地球🌏に生きるには守らなきゃいけないことがある。
木を伐採し山を切り崩しソーラーパネル貼りまくる。
こんなことばっかりでいいの⁉️
れいわボランティア本部さん素晴らしい時間をありがとうございました✨✨
◆著書から判断して明確にマルキシストである斎藤幸平さんに講演を依頼したれいわ本部の柔軟さ、偏見の無さに脱帽。有意義な学びに改めて感謝します。
坂本龍一さんも推薦文に名を連ねている『人新世の「資本論」』の深い洞察に心から感動しました。
『大洪水の前に』を次に読む予定。
◆斉藤幸平さんのれいわ全国勉強会🎵
幸平さんはドイツのハンブルグから登場❗️なんだか欧州ぽい雰囲気になられてました‼️
群馬の実家の母も勉強会に参加🎵『めちゃくちゃ良かった』との感想。
都内では有名な方の講演を聞く機会も多いですが、地方に住む一般市民が勉強する機会、もっと増えるといいですね‼️既得権益と闘うために市民が基礎知識をつける。
◆「人新世の資本論」で一世を風靡した斎藤幸平氏がゲスト。
大きなくくりでは同じ左派でも「積極財政」のれいわと「脱成長」の斎藤氏ではやはり主張が異なる部分が多く、しかしながら案外一致する部分もあり、新鮮で良い意味で刺激になりました。
最後に、やはた愛議員、くしぶち本部長、さかぐち事務局長からコメントをいただきました🌟
斎藤幸平さんの講義を楽しみにしていました。同世代として、斎藤さんは私の尊敬する人物の一人です。最初は『脱成長』に対して疑問もあったが、彼の考え方やメディアでの姿を見て、日本社会の中で役割を果たしていると感じました。日本社会が抱える問題をどうにかするため、自分の役割を全うしたいと思っています。斎藤さんには引き続き理想を語り続けてほしいし、共に社会を変えていく仲間として活動したいです。
今日のお話はまるで文明論を聞いているようでした。NGOのピースボートで世界を回り、南北格差や資本主義、社会主義の国々で人権侵害に触れた経験があり、今でもその現場が思い浮かびます。どのように既存のシステムを越えて次の世界を作れるか、改めて考えさせられました。思い出したのは、20年前、世界社会フォーラムでもう一つの世界は可能なんだというスローガンが掲げられ、反帝国主義、反新自由主義、気候変動、核兵器廃止のテーマが議論されたことです。しかし、ゴールは出てこないまま、また戦争に突入するような社会に今なりつつあります。利潤追求の人たち、新しい社会を作りたいっていう人たちが、実際には世界中にいて、その両方の闘いが今まさに現実なものになってきてると思います。
コモンという考え方に非常に惹かれました。この考え方をどう制度化して未来の社会に活かすかを、世界的に研究していくべきだと感じています。以前、国連で平和構築の仕事をしていた際、カンボジアやモザンビークの山岳少数民族の村に住み、そこでは循環型経済や自然と共生する考えがありました。しかし、平和になり資本主義が入ると、その価値観はあっという間に壊れてしまいました。先進国の社会にもその良さを再構築する価値があり、斎藤先生の研究に期待しています。
本日は貴重な機会をありがとうございました。今の日本社会では声を上げることが難しく、声を上げると批判されがちです。そういう時に、空気を読まない人たちが大事ですね。れいわのような空気を読まない人たちが集まる場所から、次の新しい社会を作っていけるのではないかと。私もこれからも空気を読まずにメディアなどで発信していきたいので、批判や応援をお願いします。みんなで頑張っていきましょう。
資本主義の限界と、私たちがこれから目指すべき社会。そのヒントを、今回の勉強会から得ることができました。
空気を読まずに声を上げること、それが社会を変える第一歩なのかもしれません。あなたなら、どんな未来を描きますか?
斎藤幸平さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟


斎藤幸平氏の著書もぜひチェックしてみてください!
↓
〇人新世の「資本論」 – 集英社 2020/9/22
〇大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝 – 堀之内出版 2019/4/30
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