「今こそ、日本国憲法の価値を実現する」
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伊藤真氏

弁護士、伊藤塾(法律資格の受験指導校)塾長、法学館憲法研究所所長、日弁連 憲法問題対策本部 副本部長。
日本国憲法の理念を伝え、講演・執筆活動を精力的に行う。
NHK「日曜討論」や「仕事学のすすめ」、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」などにも出演。
著書:『安保法制違憲訴訟』(寺井一弘氏との共著、日本評論社)、『9条の挑戦 非軍事中立戦略のリアリズム』(神原元氏、布施祐仁氏との共著、大月書店)など著書多数。
レポート🌟
第20回全国オンライン勉強会【伊藤真氏】2025.5.23(金)
「憲法ってなんだか難しそう…」「自分には関係ないかも…」そんなふうに感じている人も多いかもしれません。
でも、実は憲法は、私たち一人ひとりの暮らしや権利、平和などに深く関わっています。
今回の勉強会では、弁護士であり伊藤塾 塾長としても知られる伊藤真氏が講演🌟
ウクライナ、ガザ、台湾有事…世界が不安定さを増す中、日本の安全保障や改憲の議論が加速する今だからこそ、憲法が持つ“力”と“役割”について、改めて学ぶ機会になりました。
司会は安定のさかぐち事務局長です😊

始めに、くしぶち本部長の挨拶!
皆さんこんばんは。れいわ新選組は、「今ある憲法を守れ」ということを一貫して訴えてきました。特に、生存権を保障する25条が今どう扱われているのか、国会でも改めて問いたい状況です。能登半島をはじめ、14年前の3.11の事故、東日本大震災の時から見ても2万人以上も未だに避難民状態だったりします。今ある憲法を守れということのために、ぜひ伊藤実先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
それでは、伊藤氏の講演内容をダイジェストでお届けします🌟
🌟憲法は、何のために作られたのか?
日本国憲法がめざしたのは、大きく2つ。
1つは「日本中に自由と人権を保障すること」、もう1つは「政府に二度と戦争をさせないこと」です。
ここで大事なのは、「政府」とあえて書かれている点。国民も含む「国家」ではなく、「戦争を始める主体は政府だ」とはっきりさせたうえで、「二度と政府に戦争させない」という決意が込められています。
この憲法は、今の私たちだけでなく、子や孫の世代にも戦争をさせない。私たちの次の世代、また次の世代にも、この憲法の価値を大切なものとして引き継いでいく。そういう思いで憲法は作られたということです。
🌟それって抑止力? それとも戦争準備?
近年、日本が平和主義を手放し、軍事国家の道へ進んでいるのでは?と世界が注視しています。岸田元首相はTIME誌で「日本を真の軍事国家に」と紹介されました。その背景には、防衛費のGDP比2%への倍増などの動きがあります。さらに、麻生元副総裁は「ナチスの手口を学べ」と発言し、「抑止力には戦う覚悟が必要」とも語りました。
伊藤氏は言います。「抑止力」とは攻撃すればやり返すという脅し。それには武力だけでなく戦争する意思が必要です。つまり、抑止力を高めるということは、「戦う覚悟を持て」と国民に求めているのと同じ。それに、私たちは気づいているでしょうか…?
🌟個人の尊重と「幸福追求」の意味
憲法13条は「すべて国民は個人として尊重される」と定めています。ここでいう個人とは、日本に暮らすすべての人々。大切なのは、人を“道具”として扱わないこと。とりわけ、戦争の道具として人を使ってはならない。この強い決意が込められています。
さらに13条は「幸福追求権」も保障しています。ただし、与えられる“幸せ”ではなく、「自分の幸せを自分で選び、その道を歩む自由」を守るものです。憲法は、結果よりも生きる“過程”を大切にする考え方を示しています。
憲法9条と13条は、たやすく実現する理想ではないかもしれません。だからこそ、私たちはそこに向かって努力し続ける。その努力をしていく過程やプロセスこそが大切です。
🌟緊急事態条項の危うさと、今こそ必要な視点
改憲論の中でよく持ち出される「緊急事態条項」は、人権保障や権力分立を一時停止させる、立憲主義に反する制度です。実際に世界各国で乱用例があり、国民の自由が制限され、民主主義が後退する危険をはらんでいます。
一方で、ドイツ憲法のように「緊急権」を持たせるなら、国民の「抵抗権」も同時に保障すべきだという考え方もあります。日本ではこうした議論がほとんどされていないのが現状です。
さらに、現行の国民投票制度には広告規制や最低投票率もなく、改憲のハードルが極端に低いことも大きな問題です。憲法を変える前に、まず手続きの公正さと、憲法そのものの理念を今一度確認する必要があるのではないでしょうか。
上記がお話いただいた内容の一部です✨
講演ではほかにも、
・戦前から戦後へ、「立憲主義」がどう変わったか
・ナチスとヒトラーから学ぶ“危険な流れ”の見抜き方
・立憲主義と民主主義
・集団安全保障とは
など、じっくりと語られました。
もっと詳しく知りたい方は、アーカイブ映像をぜひご覧ください🌟


次は、皆様からの質疑応答タイム🌟
今回は寄せられた質問の中から、5つをピックアップしてご紹介します。
- 「平和主義者は愛国心のない危険な人々だ」といった言説が広まる中、防衛力強化は当然という世論にどう立ち向かえばいい?
-
まずは歴史を学ぶことが大切です。戦前日本がなぜ戦争に突き進んだかを知る。そして今の現実、日米の軍事一体化や訓練の実態などを把握し、周りにそれを伝えることが大切です。
- 戦争に向かう分岐点と、過ちを犯さないために気をつけることは?
-
満州事変や天皇機関説事件が大きな分岐点。立憲主義が否定され、国民も報道に流されて声を上げられなかった。当時と違い、今は言論の自由と選挙権があります。その権利をしっかり行使することが大切です。
- 生存権(憲法25条)は抽象的すぎて、国に具体的な請求はできないという解釈があるが、変えるべきでは?
-
基本的に同意です。財政的基盤がないから無理と言うけれど、憲法はむしろそれを整えるよう求めている。限られた税金をどう配分するか、それこそが政治。25条は13条とも直結する大事な権利です。
- 先生が言っていた「安心供与外交」ってどういう意味?抑止力とどう違うの?
-
抑止力は「攻撃されたら反撃するぞ」という脅しです。一方で安心供与政策は、「日本から攻撃することは絶対ないですよ。だから日本を攻撃する理由なんかありませんよ」と相手に安心感を与える外交政策のこと。かつて日本は専守防衛を徹底し、軍事一体化を避けることで近隣諸国と信頼関係を築いてきました。でも最近は、攻撃的な抑止力に偏りすぎていて、バランスを取り戻す必要があります。
- 韓国では戒厳令が発令されたけど、国民が止めました。これは「抵抗権」? 緊急事態条項と何が違う?
-
緊急事態条項は、国家が権力を強化するための仕組み。一方、抵抗権は国民が自由を守るために権力に抗う権利。まったく別物です。ドイツは緊急条項を設けると同時に、抵抗権も明記しました。日本では抵抗権がまったく議論されず、国家側の都合ばかりが語られているのは大問題です。
今回の勉強会について、ネット上でのご感想です👇
つぶやいてくださったみなさま、感謝です☆
◆雨の中、泥まみれになりながら戦闘訓練やったことも無い連中が戦えという。虐待受けたこともない連中が家族は助け合えという。
まずは今の憲法を守れ!そして、基本的人権の保護を強化する、為政者をより縛る方向の改憲こそ「憲法改正」です。戦う覚悟を言い出す政治家は洩れなく💩政治家の役割は、国民を飢えさせないこと、絶対に戦争をしないことだ!
◆ルールも守らない奴らがルールを変えようなんて寝言は寝て言え🤬兵器より対話による外交、欧米より近隣、アジアと上手くやらないと。
◆そもそも、その改憲・国民投票でのコストを排除して、必要論ばかりいうのがおかしい。
まして、CMで、民間企業へ公金誘導、火事場泥棒か火付け強盗か、国民は涙目でしかない。
◆緊急事態条項を通して、国民の基本的人権を削除されたら、国民が終わり、なので、絶対に独裁国家にしてはいけない。
日本の国民が何も言わないから、政府に好き勝手される。言っている国民は、ある程度いても、無視される。国民全員が意見を言えば、効き目が有る。言う必要のある事は、言う必要がある。言わないと、やりたい放題される。
◆安保法の参考人質疑のときの山本太郎さんと #伊藤真 先生。紛うことなき簡潔な答弁に敬意を表したい😭
最後に大石共同代表、くしぶち本部長からも挨拶と質問が寄せられました。
一言一言が本当に大事でわかりやすかったです。改憲派の人たちにこれを24時間ローテーションで聞かせたいくらいでした。
れいわは議席が増えて、今国会から私が憲法審査会に出ていますが、改憲派の暴論が本当にひどい。緊急政令なんて内閣の独裁を進める話で、国民も嫌がっているから「緊急事態条項って言わんとこう」とか言ってくる。被災地の議員を残すためと嘘くさい理由を並べて、衆議院の任期を延ばそうとしている。そんな相手に「教育無償化のために改憲議論を」と言われても、乗ってはいけない。民主主義の罠です。戦争させない、独裁を許さない憲法の根幹を守ることが私の使命です。
先生には、れいわローテーションが憲法に照らして問題ないか、もしお時間あれば伺いたいです。
れいわの事前ローテーションは、憲法上問題ないと考えます。比例代表は政党への投票が基本で、有権者も交代制を理解したうえで支持している。全国民の代表としての役割を果たす限り、議員が1年で交代しても違憲ではありません。6年の任期は最長の上限であり、短期の交代は他でも例がある。むしろ比例代表制の趣旨にも合致しており、有権者の意思を無視するものでもありません。議論の余地はあれど、私は問題なしと考えています。
戦前の立憲主義がわずか10年で崩れ、戦争に突き進んだ歴史を思うと、今の状況が「新たな戦前」と言われる意味を改めて実感しました。私自身、憲法審査会に初めて出席して改憲派の空気に圧倒されましたが、大石さんが一人で奮闘していて。立憲が委員長を取っていても歯止めになっておらず、本気で危機感を持たなければ間に合わないと思います。
最後に一つ質問です。税金は法律で決まりますが、社会保険料は自治体判断で増額され、実質的な「第2の税金」とも言われています。これは憲法83条が定める財政民主主義に反しないのでしょうか?
社会保険料は一方的に徴収される点で税に近い性格を持ちますが、保険としての対価性もあるため、完全に税とは異なります。ただし、最高裁の判例では、租税と同様に課税には法的根拠が必要だとされています。したがって、社会保険料の引き上げについても、条例などの明確な根拠がなければ、憲法違反となる余地が十分にありえます。法律なりの根拠を全く無視することはできないぞという風に考えていくことができるかと思います。
ありがとうございます。財政の面からも是非れいわ新選組は、憲法25条の話、その観点からもみんなと力を合わせていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
今回の勉強会を通じてあらためて憲法とは何か、そしてそれが私たちの暮らしや民主主義にとってどれほど大切なものなのかを深く学びました。
戦争をさせない、独裁を許さない。
そうした憲法の原点を見失わずに、市民の一人としてこれからも声をあげたいと思います。
みんなで、社会を少しでも良い方向に動かす力に変えていけるよう、自分にできる事から行動していきましょう!
伊藤真さん、そしてご参加いただいた皆様、遅い時間までありがとうございました🌟


伊藤真氏の著書もぜひチェックしてみてください!
↓
〇大事なことだけ覚える技術 – サンマーク出版 2025/5/23
〇考える練習 – サンマーク出版 2025/1/30
〇やっぱり九条が戦争を止めていた – 毎日新聞社 2014/8/30
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